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鈍い痛みと共に、目が覚めた。どうやら手足は拘束されているようで、俺は膝をついて車の天井あたりに手を吊り下げられているらしい。 革と金属で出来たその手製の手錠は、俺の力では到底千切れそうにない。しばらくもがいていると、人の気配が動いた。 真っ暗で周りがどうなっているのか確認できなかったが、俺が来ようとしていた目的地であることは想像できた。 人の気配はレナだ。 「目が覚めたのかな? 圭一くん?」 突然、電気ランタンの光が俺の目に飛び込んで、 俺は目をかばおうとしたが、手が拘束されているからもがくことしか出来なかった。 強く閉じていた目から、次第に光が遠ざかっていくのを感じる。 「まぶしかったかな? かな?」 俺が何とか目を開けると、すぐ前にレナが居た。 そう、俺はレナを説得しに、レナが別荘のようにしているこの車を探していたのだ。 「う、レ、レナ? レナ!」 「こんなところに何しに来たの?」 「お前を助けに来たんだ、レナ……ところで、何で俺縛られてんだ?」 「ああ、ごめんごめん。突然暴れられると困るから。少し緩めるね」 「解いて……くれないのか?」 俺は薄々感じていたのに、わざわざそれを確認する。 「解いたら、何されるかわからないじゃない? 圭一くんだって……もしかしたら、”敵”なのかもしれないし」 「なんだよ? ”敵”って?」 そう言うレナは、首筋を引っ掻いていた。その首筋からは赤いしずくが流れ落ちて、一筋の線を作り、服に赤い模様を作っていた。 「お前、その首……」 手を出そうとして、じゃら、と鎖が邪魔をするのに気付く。 「ごめんね、圭一君が味方かどうかわかるまで、私はその鎖を外せないから」 「……そうか」 レナは今、心に風邪を引いている。短期間に人を二人も殺して、バラバラにして…… 「大石さんから聞いたんだ」 血が流れているというのに、まだレナはかきむしっていた。 「圭一くん、転校前に色々してきたんだって? オモチャの銃で……」 「レ……レナ?」 俺は……確かにした。いろいろ、なんてもんじゃない。子供の目を撃って、失明させかけた。 「全部言わなくてもわかるよね? そんな人、信じれると思う? この犯罪者!」 「レナだって」 俺は、一瞬で失言だと思った。俺は説得をしに来たというのに、 レナが知っていたという事実を遠ざけるために、とんでもないことを言おうとしたと。いや、もう言ったも同じだ。 「うん、そうだね。レナは人を殺した。ううん、置いてきた。 礼奈と一緒にあそこにおいてきたの。皆と一緒にね。 それなのに、魅ぃちゃん、動かしたんだよねぇ?」 「ち、違う!」 「違うもんか! 確かに埋めた場所に、死体は無かったんだから!」 「だから、違うんだって、それは魅音がレナをかばうために……営林署があそこら一体を掘り返すっていう話があって」 「嘘だッ!」 レナは、いつのまにか手に持っていた鉈を振り回した。乱暴な音が車内に響き渡り、窓ガラスを破壊した。 「それで、圭一くん……いや、前原、お前は何をしに来たんだ?」 レナのその言葉は、今までのどんな暴言より暴力的に聞こえた。 お前、前原……レナが俺の名前を呼んでくれない。 「”礼奈”を、助けに来た」 「その名前で呼んで良いって誰が言ったぁぁあぁぁああ!!!」 今度は二度、鉈を振り回した。割れるべき窓ガラスはもう無く、 天井やら内壁やらにぶつかり、その反動で俺の鼻先を掠れたが、俺は”礼奈”を見つめていた。 「なぁ、俺は、悪いことをしたさ。でもな、圭一っていう名前は、捨てなかったぜ?」 「うるさいよ、前原」 突然、レナが俺の股間を握ってきた。 「所詮、お前だってここで動く人間なんだ。男なんて皆一緒、一時的に快感さえ得られれば、それでいいんだ」 「な、レ……礼奈!」 「何? それ? 私を挑発してるつもり? 自分の立場が分かってる? 私、人を二人も殺してるんだよ? もう何だって出来るよ。今、この場でお前の首を飛ばすことも出来るんだ……あれあれ? ここが硬くなってるよ?」 喋ってる間も俺の股間を触っていた礼奈は、俺の体の異変を感じ取っていた。 「それは……礼奈が、触ってるからだよ」 「ふーん、それって、愛の告白のつもりなのかなぁ? 私、そういうの嫌いだな。気持ちよくなったら、ハイさよならーでしょ?」 「違う……俺のは……礼奈だから、硬くなったんだよ」 礼奈はそんなことを気にもかけず、ジッパーに手をかけた。 俺の股間が露にされるのは、それほど時間の掛からないことだった。なぜなら、俺のものが限界まで張り詰めていたからだ。 「こんな状態でも勃っちゃうんだ。あはははは、しかも、皮かむってるんだね?」 「……くっ」 礼奈は、硬くなった俺のものを軽くつついた。それだけで、何ともいえない感覚が俺の脊髄まで駆け抜けた。 「ほら、やっぱり。こんな状況でも反応するなんて、変態だなぁ……」 「なぁ、礼奈」 「後ろを向け、前原」 「礼」 「向けッ!」 首筋に、鉈を当てて、礼奈は俺を脅迫した。ここで逆らったところで、 何ら解決の方向には向かない。俺は仕方なく、後ろを向くことにした。 どうやら、回転はできるらしく、俺は膝をついたまま礼奈に背中を見せる。 「これが見えるかな? いや、見なくてもいいよ」 スイッチを切り替えるような音がして、続いて何かが振動するような、くぐもった音が聞こえた。 少ししてから、俺のズボンのベルトが外され、ズボンをずり下げられる。 その間ものたうつ何かの音を、俺は聞いていた。 まだいいね、という礼奈の声と共に、その振動音は無くなる。 続いて、何か液体のようなものが、俺の尻に塗りたくられた。ひんやりとしたそれは、同時にぬるぬるとしている。 礼奈の手は、俺の尻の穴にまで及んだ。 「あ、あう……」 普段触られないようなところを触られ、俺は思わず前かがみになってしまう。 結果、尻を礼奈のほうに突き出す形になった。 「あははははは、変態だ、変態だ」 完全に、面白がっている。 「入れるよ?」 何、何を入れるんだ? 「ゴミ置き場で拾ってきたものだけど、ちゃんと洗ってるから大丈夫だよ」 俺は、座薬を入れられたときのような感覚を、尻に感じた。 すぐにそれを排出しようとする力が掛かる。 「ガムテープでとめちゃえ」 「ああ、う……」 びりびりという音と、俺の尻に感じた礼奈の手の感触と、粘着質のテープが貼られる感触が、俺の前の敏感な部分に届いた。 「これでも感じるんだね、ぴくぴくしてるよ……レナなら、かぁいいなって言ってたかもね。私は礼奈だもんね?」 「そ、そうだよ、礼奈……」 「まだ言うの?」 ごとり、という重いものを動かす音がした。 ぺち、ぺち、と、金属のひやりとしたものが俺の後ろに何度もうちつけられる。 「分からない子には、お尻ぺんぺんだよ?」 べちっ、べちっ、だんだん強くなってきた。 「あははははははは、こんな状況でも、キモチ良くなりたいんだねぇ? やっぱり、お前も醜い男の一人だったんだ。レナはそこに居てろ。礼奈がやるよ」 礼奈のほうが見えない俺には、本当にその場にレナと礼奈という二人の人物がいるかのような錯覚があった。 「礼奈、もう、やめてくれ……」 「何言ってんの? 尻叩かれて感じてる変態さん?」 そういって、礼奈は俺の腰に手を回してきた。片方の手は、俺の左腿を掴んでいる。 そして、もう片方の手は、俺の前へと回ってきた。その手はべとべとした液体で包まれている。 「これね、ローションっていうんだよ? お前の尻が気持ちよくなるように、さっき塗りたくったのもそう。 ああそうだ、電源を入れるのを忘れてた」 かち、という音と共に、例の振動音が……俺の中から聞こえてくる。 それと同時に、俺が今まで感じたことの無い種類の快感が、体を駆け巡った、 拘束されているから、俺はひざをついたまま、のた打ち回る。 「ああ、あううあああ、や、やめ、やめてくれ、れ、礼奈、礼奈!」 「これからだよ、圭一」 礼奈が、圭一と呼んでくれた。そのことで、一瞬意識がそっちに向かったが、 それが飛ぶぐらいの快感が、また、俺の体を駆け巡った。 「あぁあううあ……」 礼奈の手が、俺のものに触れたからだ。 「へぇ、触っただけでこうなるんだ。じゃあ、握ってしごいたらどうなるかな?」 礼奈は俺のものを強く握り締め、ゆっくりとしごきはじめた。 「はぁっ、はぁっ、れ、礼奈、止めて、止めてくれ、その、振動を!」 「あはははは、圭一くんのここ、すごいよ。何か溢れ出てるよ? それ、剥いちゃえ!」 一気に礼奈は俺の包皮を剥いた。赤い色の先っぽが露出した瞬間、俺は体をのけぞらせた。 「あぁぁあがっあああぁあ!」 何度も何度も、体ごと波打たせて、俺は白い液体を飛ばす。 「あ……ああ……あ、あ」 やがてそれも収束するが、まだまだ俺のものは硬いままだった。さらに、振動も止まらないままだ。 「あーあ、手が汚れちゃった。そうだ、いいものをあげよう」 「もう、もう終わりにしてくれよ……」 「でも、圭一くんのここ、まだ収まってないよ? 出したいんなら出したいだけ出したらいい。それが、最後の手向けだから」 圭一、くん……そうか、俺を、殺すんだな。そうは思っても、まだ俺の尻の中で暴れる振動に、俺は流されてしまった。 「ほら、これを使うんだ。」 礼奈が手にしたそれは、ゴムのかたまりのようなものだった。 その管状のゴムには穴が開いていて、そこからは先ほどの透明の液体があふれ出ている。 「これが、圭一くんの始めての相手だよ、あははは、惨めだねぇ、変態は」 そっと、その塊を、俺のいきり立ったものに近づける。 「ほら、腰は動かせるでしょう? 自分で動いてみたらどう?」 刺激するように、礼奈はそれを俺の先端に近づけては放した、 俺はそのたび、その管の方向へと腰を動かしてしまう。そのうち、礼奈は動きを止めた。 俺は、そのままの勢いで、その穴へと挿入してしまう。 「はああぁうあ、礼奈、礼奈ぁぁ、礼奈、礼奈……」 「まだ言うの? それとも気がおかしくなっちゃったのかな? あはははは、もうそろそろ死んどく?」 礼奈は、左手に鉈を持った。音で分かる。先ほどと同じ音だから。 「礼奈、礼奈礼奈……」 俺の腰の動きは、止まらなくなっていた。壊れた再生機のように、何度も何度も礼奈と言い続けた。 何度か突いたあと、俺はまた絶頂を迎える。もう手がだらんとしてきて、足も震えてきている。 腰がパンパンでも、まだ、その管はおれのものについたままだった。 もう礼奈は手を放しているのに。つるんと、それが抜け落ちて、また、俺は体を震わせた。 「すごいね、四回も出したのに、まだ硬いよ?」 「れ、礼奈……礼奈……」 まだ俺は、うわごとのように繰り返す。それは、気付いて欲しかったから。 信じてた。いや、信じてる。今この瞬間も信じてる。信じてるのは、認めたくないから? いや、違う。認めたいから。俺は悪いことをした。礼奈も悪いことをした。それを、認めてほしかった。 でも、それは、俺の独りよがりな発想だった。なんせ、俺はこうやってもてあそばれている。 認めてほしいなんて、罪を押し付けている。 「解いてあげるよ、圭一くん。もう、襲い掛かってくるような力も無いようだしね」 振動が止まり、俺は完全に自由な状態になった。それにもかかわらず、俺はその場にへたりこんでしまう。 叫ばなければならないのに。 「あはははははは、無様なもんだね、もう黙った。ねぇ? 圭一くん?」 圭一くん。そうだ、俺を圭一くんと呼んでくれる奴が居た。名前はレナ。 いや、礼奈。竜宮礼奈。ずっとレナって名乗ってた子。本当の名前を捨てて、ずっとずっと。 「なぁ、”レナ”なんで、”い”を捨てたんだ?」 壊れたように笑っていた礼奈の動きが止まった。 「レナ? 礼奈だよ。こんな汚れた仕事をするのはね。”い”やなことを捨てて、私はレナになったっていうのに、 圭一くんは悪い子。礼奈を思い出させた。こんな暴力的で最低で、そのくせ大事なものも守れない、弱い女をね」 「そうだったのか……あはは、俺さ、”い”を取ったら、ケチな男になっちまうんだよ。 わかるか? けいいちから、いを取るんだ」 「そうだね、ケチな圭一くん。だって、レナのこと、礼奈って呼ぶんだもん」 「だって、礼奈って……綺麗な名前じゃないか。 それを名乗らない……レナのほうが、ケチだぜ……でも、レナって呼ぶよ。 レナは、そっちのほうがいいんだろ?」 「……礼奈って、呼んで」 「え?」 俺が、振り向いた瞬間、レナ、いや、礼奈は俺に唇を重ねた。 「ほら、礼奈の、ここ触ってみて?」 レナが俺の手をひっぱり、自分の股間に手を当てさせた。 「湿ってるでしょう? 私、圭一くんの姿見てて、こんなになっちゃったの。 変態、圭一くんだけじゃないよ、私も変態。人を傷つけて、こんなになってるんだから」 「レ……礼奈?」 「ねぇ、圭一くん、私、帰る場所が無いの。家に帰れない。圭一くんの家にも、魅ぃちゃんの家にも行けない……私、自首するよ。 間違ってたの、私、礼奈なんだって。汚い汚い、礼奈なんだって」 「間違ってたのは……俺だよ。礼奈を、嫌なことから無理やり遠ざけてた。それが解決になるわけ、無いのに」 レナは、ぎゅっと俺の手を握り締めた。 「卑怯だよね、知ってた? 魅ぃちゃんも、圭一くんのこと好きなの。でも、私はもっと好きなんだ! もっともっと! 何で、何で、こんなことになっちゃったんだろう! 礼奈の馬鹿、礼奈の馬鹿!」 「礼奈! 礼奈はお前だ、礼奈! その名前を捨てないでくれ! 犯した罪を捨てないでくれ! 俺たちを……捨てないでくれ……俺は、レナとしてお前と会ったから忘れてた。 ずっとずっと生まれてから死ぬまで礼奈だってこと、礼奈は、礼奈だってこと!」 「うっぅ、うう、つらいよ、圭一くん、胸が痛いの!」 「俺が、抱きしめててやるから、泣いてくれ。ずっと、頑張ってたんだな、礼奈。ずっとレナを押し付けて悪かった」 「圭一くん……あのね……やっぱり、ダメ。犯罪者の娘や息子なんて、迫害されるだけだもんね……」 「ああ、そうか、俺が言うべきだな。俺、礼奈の子供が欲しい。俺と、礼奈の子供が欲しい」 「……ありがと」 俺と礼奈は、激しく交じり合った。お互いのだいじな名前を呼び合いながら。 「ねえ、圭一くん、痛かったよ」 「え、あ、ご、ごめん……」 「でも、うれしかった。あのね、その、また出てこられたら……」 「ずっと待ってる。何年でも、俺は待ってるから。だから……その時は、結婚しよう、礼奈。前原礼奈に、なってくれ」 「ふふ、子供が生まれたら、礼一くんかな?それとも圭奈ちゃん? どっちも素敵な名前だね。私と、圭一くんの名前が入っているんだから」 「そうだな、二人目が生まれたらどうする?」 「あはは、圭一くん、気が早いよ」 礼奈は、大粒の涙を流した。俺も、きっと流していた。これで、お別れなんだ。 いや、お別れはもっと先かもしれないけど、いつもの日々とは、これで。 「みっ、みぃーー……レ、レナがボクの注射を拒否したのに、圭一にお注射されたのです……」 「り、梨花ちゃん?」 俺は動揺した。まさか、こんなところで会うとは思わなかったから。礼奈との関係を知られたからじゃない。 「あはは、梨花ちゃん、聞いてた? 私、もう自首するから……お別れだね?」 「それでいいのですか?」 「……うん」 「レナが……いや、礼奈がそれでいいというのなら、ボクは何も言わないのです。 惨劇がはじめから無かったなんて、ボクは思っていません。 起きた後に、それを受け止めなければいけない人たちのことを、ボクは考えたことが無いのですよ」 俺には、梨花ちゃんの言っている意味が、少しわからなかった。 でも、梨花ちゃんが礼奈を認めてくれたことは、俺にも分かった。 翌日、礼奈は警察に出頭した。 なぜか大石という刑事は、礼奈を見て驚いてはいたが、すぐに礼奈に色々な質問をはじめた 。死体はどこにあるのかだとか、凶器はなんであるか……証拠が無い限りは、それが事実であったとしても、 警察は捕まえられない。確かに、リナと鉄平という人物が行方不明になっているが、もともとよく行方不明になりそうな人間だったから、 捜査は最小の人員で行われていた。誰も、居なくなったことを気にかける様子が無かったからだ。 調査の結果、礼奈の証言は、嘘の証言であることを認定された。大石はひどく落胆し、 何か色々とつぶやいていたが、もうこんなところに来ることは無いようにと、俺たちに念を押していた。 「ねぇ、圭一くん?」 「なんだ? 礼奈?」 そう言うと、礼奈はうれしそうに言った。 「すてきな、なまえだね」 ―END―
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今度こそ運命を打ち破れる―――――。 誰もがそう思い、信じて疑わなかった。 きっと今回こそは幸せな未来を勝ち取る事が出来る、大好きな仲間たちと共に7月を迎える事が出来る、………と。 そう、今この瞬間までは、そう信じていたのだ。 「…ふふ、残念ね?もう少しで逃げれたかもしれないのに。 …前原君がそんな様子じゃあ、ねぇ…?くすくすくす!」 しんとした空間に、鷹野の柔らかな笑い声が響いた。 心底楽しそうな顔をして彼女は銃をチラつかせる。…その顔はまるで、面白いオモチャを見つけた子供のようだ。それは私の悔しさを倍増させ、皆を恐怖させるだけだった。 あともう少しだったのに、と嘆いてももう遅い。私達は山狗達によって後ろ手を縄で縛られ、身動きのとれない状態にされていた。 「気分はどう…?ふふ、あなたたち、これから何されちゃうのかしらねぇ。 …あら、前原君… ずいぶん苦しそうだけど、痛むの…?」 す、と鷹野がかがみ圭一と目線を合わせる。圭一は苦しそうに顔を歪めた。その肩からは血がダラダラと流れている。 「いっそひと思いに、って心臓を狙ったはずなんだけど…。こんなかすり傷じゃ痛みはしても死ねないわね。そのまま放置してたら出血多量で死ねるかもしれないわ……ごめんなさいね…?くすくすくす!」 圭一の顔がさっと青くなる。ぞくりとしたものが背中を駆け抜けていった。空気が強ばっていくのを感じる。…きっと皆も、目の前のこの女に恐怖しおののいているのだろう。 …と、何かすすり泣くような音が聞こえた。ぼそぼそと小さく呟く声も聞こえる。それは―――――魅音だった。 「っく、ふ、…ぇっく……お、お願い、もうゆる、許してぇ…!…私たち、…っうぇ、…だ、れにも言いませ、んっからぁ……だ、誰にも…だからぁ…」 顔をくしゃくしゃにして、泣きじゃくる魅音。…決して命乞いとかをしてるんじゃない。仲間を死なせたくないがゆえ、プライドを捨て、皆を助けようとしてくれているのだ。 それは皆分かっている。分かっているからこそ、見ていて胸が痛かった。 そんなのはお構いなしに、鷹野は嘲笑うように魅音を見下す。 「やだ、命乞い?みっともないわよ、部長さんでしょ…? 詩音ちゃんも双子の妹として何か言ってあげて、………あら怖い。そんなに睨まなくても良いじゃないの」 「…鷹野さんも口の減らない人ですね。いい加減にしてくれます?」 この外道。…そう言ってやりたい気持ちを抑え、詩音はじりじりと威嚇するように鷹野を睨んだ。ありったけの憎しみをこめ、殺してやると言わんばかりに。 ――――それがいけなかった。鷹野にとっては悪あがきにしか見えないソレも、女に飢えている山狗たちにとっては征服心をそそる挑発的な瞳だったのだ。 たまらない、とばかりに1人の男が進み出る。 「さ、三佐、三佐が興味があるのってあのガキだけですよね?他は…………」 「ええ。…他の子はどうでもいいわ。魅音ちゃんの背中にはちょっと興味あるけど、………良いわよ。好きにしなさい。私は私で楽しむ事にするから」 “好きにしなさい”。……その言葉を聞いた瞬間に気丈だった詩音がびくりと震えた。強気な瞳が濁り、恐怖の色が浮かぶ。この状況で、好きにしなさいと言われて男達が取る行動は、おそらく――― うぉおおお、と雄叫びのように山狗達が吼えた。その叫びは私達を心底震え上がらせ、レクイエムのようにも聞こえた。 「おっ、俺コイツっ!!へへ、ガキにゃー見えんやらしい体してやがる!」 「いやぁぁああああああああぁぁぁ!!やめてぇえぇええ!!圭ちゃん助けてぇええええぇぇえ!!!!」 1人が我慢できずに魅音に飛びかかった。魅音が泣き叫ぶが、抵抗むなしくビリビリと服が破られていく。 それを合図に他の山狗たちも一斉に飛びかかっていった。…彼らもよく分かっている。鷹野の機嫌を損ねたくないから、梨花には指一本触れない。綺麗なままで、が鷹野の希望だ。 圭一にももちろん誰も飛びかからない。…当然といえば当然だが、それゆえに詩音、魅音、レナ、沙都子の4人に男たちが一斉に群がっていった。 「やめろぉおぉおぉ!!!やめてくれぇぇえええええええ!!!」 圭一が叫ぶ。だけどそれは泣き叫ぶ魅音たちの声にかき消されてしまった。ちくしょう、と涙しながら声が枯れるまで何度も叫び続ける。 その様子を見ながら鷹野は満足そうに笑みを浮かべていた。 実に滑稽。実に退屈しない。実に面白い…。 「…くすくすくす、…ふっ…ふふふ、ふふふふ…あっははははははは…!!」 笑い声が漏れた。 目の前の光景を見て嘲笑う。ほらね、神なんているものか!いるならばこんな残酷な仕打ちするはずがない! 神がいないというのならば私が神だ!神になってやる!そうだ、私がオヤシロ様となり神となるのだ――――――! 鷹野は高揚した気持ちを抑え、ふぅとため息をついた。 …ガラにもなく興奮してしまった。目の前で繰り広げられている淫らな光景のせいだろうか。 目を瞑り、心を落ち着かせてからポツリと呟く。 「………さあ、宴の始まりよ。新しい神の誕生を、皆で祝ってちょうだい…!」 高笑いをしながら、月に向かって叫ぶ鷹野。長い髪をなびかせて、月の光を浴びるその姿は、さながら本物の神のごとく輝いていた。
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「……くすくすくす。どう、気持ち良い? やっぱり、可愛いわねぇ……。期待通りの反応だわ」 しばらくして、鷹野さんが体を上下に動かしながら口を開く。この頃には、鷹野さんの動きは、激しい動きから、ゆったりとした動きになっていた。 だが、その感触をじっくり味わわせるように強く押し付けているため、背中から感じる快感は最初よりもかなり大きい。 「……こ、これは……どぅいうつもりで……すか?」 俺は背後から襲ってくる柔らかい感触にひたすら耐えながら言う。 「……だから、お姉さん我慢できなくなっちゃったのよ。こんな可愛い反応をする子を放っておくなんて、私には出来っこないわ。 ……安心して。そんなに怖がらなくても大丈夫よ。とても気持ち良いことをしてあげるだけだから、くすくすくす……」 そう言って、鷹野さんは体制をそのままに、俺の胸に回していた手を徐々に下へ降ろしていく。 「あ……ぅ、そ、そこは……や、やめてくださいよ……!」 精一杯抗議の声を出すが、鷹野さんは全く耳を貸さない。そして、その手があっという間に俺の下腹部に辿り着く。 「……ふふ、言葉の割には、良い感じに硬くなってるわねぇ。お姉さんのおっぱいで興奮しちゃった?」 言いながら、鷹野さんはすっかり膨張した俺のモノを、両手でズボンの上から優しく摩る。その手付きは、かなりしなやかで艶やかだった。 「……うぅ……! や、やめてくだ……あっ……ぅ!」 一気に襲い掛かってくる強い快感に、俺はつい声を上げてしまう。それを見た鷹野さんが後ろでいやらしく嗤っているのが、見ないでもわかる……。 それがとても恥ずかしくて、必死に暴れるが、手首の縄が空しく鳴き声を上げるだけだった。 「でも、やっぱり、ズボンの上からじゃつまらないわよねぇ、くすくす……」 俺が膨張部からの快感に必死に耐えていると、いつの間にか鷹野さんは俺のズボンの上端に手を掛けていた。 「ちょ……、そ、それは……本当に、やめ……!」 あそこを見られるのだけは絶対に嫌だという思いで、俺はさっきよりも更に激しく暴れる。手首の縛られた部分が傷んでも、必死に体を揺らす。 ……だが、鷹野さんはそんな俺の抵抗をあっさりと片手で押さえつけ、もう片方の手で一気にズボンを下に降ろそうとする。 俺はそれを必死に尻で下がらないように押し付ける。ズボンは俺の尻と敷布団の間に挟まれるような形になり、それ以上は下がらないように思えた。 ……しかし、鷹野さんは俺の尻を軽々と片手で少し持ち上げ、あっという間にズボンをトランクスごと降ろしてしまった。 「ふふ……。頑張ったわねぇ、前原くん。でも、大人の力を甘く見ちゃ駄目よ? 女だと言っても、前原くんよりは大分力があるんだから」 「………………」 俺はもう、何の言葉も出すことが出来ない。女性に、俺の体で一番大切な部分を見られてしまった。 今までに体験したことがない、とてつもない羞恥心が俺の全身を包み、完全に放心状態になってしまったのだ。 ……後ろに倒れこんでしまいたかったが、鷹野さんが後ろにいるため、その程度のこともできない。 ……ついさっきまで、二枚の布で隠されていた部分。今、そこには全体を包皮に包まれた俺のモノが、大きくそそり立っていた。 さっき、散々鷹野さんがズボン越しに弄ったせいか、先端からは先走り汁が溢れ、その部分を濡れ光らせている。 窓から入ってくる風がよく当たり、少しくすぐったい……。 「くすくすくす、やっぱりまだ剥けてないのねぇ……。まぁ、その年なら剥けている子の方が少数派かしら。……でも、これからお姉さんがすることには、そのお皮は邪魔なのよねぇ。 ……良いわ、少し強引な手段だけど、前原くんのおちんちんを今日から大人にしてあげる。大丈夫、痛くはしないわ、くすくす……」 鷹野さんが何か言っているが、全然耳に入ってこない。が、後ろの鷹野さんがバッグのような物を近くに寄せ、中から何かを取り出しているのはわかった。 何だろうと目を動かすと、それは化粧用品のようだった。お袋が似たような形の物を使っているのを、よく見かける。 鷹野さんはその化粧用品の蓋を開け、容器を逆さにして中身を手に取り出そうとする。容器から出てきた液体は、何だか異様にヌルヌルとした物だった。 鷹野さんの手に落ちると、じんわりと手の平全体に広がり、その形状はとても化粧用品のようには見えない。鷹野さんはその液体を一頻り出し終えると、容器を傍らに置き、両手を合わせてニチャニチャとその液体を手全体に馴染ませ始めた。 「……何ですか、それ?」 俺はもう全てがどうでも良いように感じ、投げやりに鷹野さんに質問をする。鷹野さんは、その妙な液体を手に馴染ませながら答えた。 「ローションよ。所謂、大人のおもちゃ。前原くんは知らない? まぁ、知らなくても別に良いわ。今から、存分に味わえるんだから、くすくすくす。……これはね、こういう風に使うのよ」 そう言って、鷹野さんはすっかりヌルヌルになったその手で、突然俺のモノを掴む。そして、今度はその液体を棒全体に馴染ませるように、手の平や細い指で俺のモノを激しく擦り始めた。 「……うっ!?」 さっきとは比較にならない強い快感の波に、俺は大きな声を上げる。 それは俺の放心を解くのに、十分すぎるくらい大きな刺激だった。時間経過によって少し萎えかけていた俺の竿が、それによって再び一気に反り勃つ。 「ふふふ、ヌルヌルして気持ち良いでしょう? さっきよりも、大分硬くなってるわ。 これはね、普通に擦るより断然気持ちいだけじゃなくて、痛い思いをせずに皮を剥くことができるの。便利でしょう?」 「……む、剥くってな、…、はぁ、はぁ………何がです、か……あうっぁあ……!!」 強すぎる快感のせいで、股間にばかり意識が行ってしまい、鷹野さんの話が全く耳に入ってこない。その俺の様子を、鷹野さんが笑みを浮かべて嬉しそうに見る。そして、後ろから俺の耳元に口を近づけて、濡れた声で囁いた。 「……こういうことよ」 その声が聞こえたと思ったら、鷹野さんは俺のモノの頭頂部を強く握り、指の間に包皮の端を引っ掛けながら、その手を一気に下へ落とした。 瞬間、肉棒の頭頂部に激しい刺激が走る。それは痛みに近いような、快感に近いような、訳のわからない感覚だった。 「ぅうあああっ!!?」 その未知の刺激に、俺は悲鳴に近い声を上げた。何がどうなったのか理解できず、その刺激に耐えながら目を下腹部へ向ける。 そこには、それまで全体を包んでいた皮がすっかり下へずり落ち、代わりにピンク色の亀頭が天辺に姿を現している俺のモノがあった。 初めて外界に出たその亀頭は、窓から弱い風が触れる度にビクビクと脈を打ち、快感のような刺激を俺に伝えてくる。俺の意思とは関係無しにうごめくその姿は、まるで別の生物のようだった。 「少し力を入れすぎたかしら? ごめんなさいね、痛かった?」 そう、鷹野さんは後ろから心底心配そうに言う。それは声だけを聞けば、本当にこちらの身を案じているように聞こえるだろう。 だが、案の定顔には全くそんな色は見えず、むしろ嬉しそうに笑みを零しながら、ピクピクと悶える俺のモノを見つめていた。 そして、そのローションに汚れた手で、再び俺のモノに手を伸ばす。 「あっぅぁっ……!!」 直後、電撃のように快感が体を貫き、俺は大きく身をよじらせた。見れば、鷹野さんが左手で肉棒を固定しつつ、右手で亀頭をまるでボールを持つかのように包み込み、掌を擦り付けるように手を回している。 それは、外界に生まれたばかりで空気にすら敏感な俺の亀頭には強すぎる刺激で、今度は痛みをはっきり感じる。だが、同時に気を抜けばすぐに射精してしまいそうなくらい強い快感を感じ、これまで体感したことの無い感覚が俺の体を支配した。 「どう? 大人になりたてのおちんちんを攻められている気持ちは? 少し痛いように感じるかしら? でも、我慢しなきゃ駄目よ? その感覚が、皮が被ったままじゃ得られない、本当の快感なんだから。」 そう言って手をグチュグチュと鳴らし、部屋中にその卑猥な音を響かせる。 「はあぁっ! はあ……ぅあぁっ……ぁあ……。うぅっ……!!」 俺は鷹野さんのしなやかな手の感触から逃げるように暴れるが、股間からの刺激で思うように力が入らず、体をできるだけ快感から遠ざけるくらいしかできない。 ……いや、鷹野さんが強い力で俺を抱きしめるように押さえつけているため、それも満足にできない状態だった。 そして、鷹野さんは激しく手を動かしながら口を開く。 「あらあら……。そんなに気持ち良い? 逃げたくなるくらい気持ち良いの? ……だったら、一回出させてあげた方が良いかしら? さっきから前原くん、すっごく辛そうだし、くすくすくす。」 言い終えると、鷹野さんは俺の背中に再び胸を擦りつけ始めた。しかも、今までで一番激しくて、強い。 同時に、俺のモノを擦る手付きが突然変わり、今までよりも更に強い快感が股間を埋め尽く。 鷹野さんが右手の手の平の動きを強め、その柔肌を押し付けるように亀頭を擦り回し、左手では今まであまり弄られていなかった玉袋を揉み始めたのだ。 自分でオナニーをする時でも、玉袋はあまり触ったことがない。だから、その快感は全く未知の物で、耐えようにもどう耐えれば良いかわからない状態だった。 「はぁ、……はぁ! はあ……ふはぁ……、た、……たかのさ……ん、……ふ! や、……はぁ、め……て……はぁ、はぁはあ……!」 背中中から伝わってくる柔らかい快感と、股間から感じるヌメヌメとした快感。その二つが混ざり合い、俺の呼吸は長距離を走った時のように大きく乱れた。汗が体中から吹き出し、着ているシャツを濡らすが、それすらも気持ち良いように感じてしまう。 ……そして、俺のモノはあっという間に限界に近づいてきた。 「……う……はぁ! た、鷹野……ふぁ、……さん、……も、もう、……や、バイ…はぁ、です……。……で、はぁ、……出る! ……ふぅう、……はぁ、はぁ!」 「……くすくすくす、我慢しちゃ駄目よ? 遠慮しないで、一気に出しちゃいなさい。お姉さんの方は、いつでも準備が出来てるから……。」 鷹野さんが少し息を乱しながら、とんでもない事を言う。 こんな、鷹野さんが見ている前で出せだって……!? そんなこと、出来るわけが…! 「……はぁはぁ……うぅッ!?」 だが、突然更に快感の波が大きくなる。見れば、鷹野さんが俺の竿を擦る力をこれまで以上に強めたようだった。 更に、それに連動するように、背中からの感触も強くなる。見えなくても、鷹野さんの豊満な乳房が大きく形を変えて俺の体に擦りつけられているとわかる。 俺は最早、それらの前で正常な思考が出来なくなり、とにかく射精をしないように股間へ意識を強めた。……しかし、どんどん強くなる快感の前では、そんな物は無力に近い。 ……そして、鷹野さんの指が亀頭の天辺を軽く刺激した時、すっかりローションで濡れ光った肉棒から、白い液体が勢い良く噴き出した。 「うわあああぁぁああぁぁあああぁあっ!!!!!」 その間際の強すぎる刺激で、俺は叫び声に近い声を上げる。一気に放たれたそれらは、俺のモノ包んでいる鷹野の手を汚し、更に暴れる俺の足ですっかり乱れた布団を白く濡らした。 欲望を吐き出して萎えた俺のモノは、しばらくビクビクと痙攣し、その度に更に白濁駅が亀頭の割れ目から外界へ流れ出て、未だにそれを持っている鷹野さんの手を汚し続ける。 その量は普通のオナニーの時と比べて二倍以上は多い。……明らかに、異常な量だった。
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口移し編(???×レナ)の続きです。 口接し編(圭一×レナ) それからどのくらいの時間が経ったのだろうか……。 「―――ナッ! レナッ!」 遠くから誰かに呼ばれているような声が耳に届き、竜宮レナは目を覚ました。 「ん……ここ…は……?」 「レナ、よかった……。さっきから魘されてたんだぞ?」 「け、圭一くん?」 レナに呼びかけていたのは、前原圭一その人だった。 「安心しろ。もう大丈夫だからな?」 圭一の助けを借りながら、ゆっくりと上体を起こして周りを見渡すと、外は暗いながらも、自分の秘密基地の中だということが見て取れた。 ……同時に、先程自分の身に降りかかった出来事をはっきりと思い出す。 ―――あぁ…そうだった。私は……。 レナの脳裏に、宇宙人を殺そうとして逆に組み伏せられ、抵抗も空しく無理やり唇を奪われながら液体を飲まされるという、死に勝る屈辱を味わわされた記憶がフラッシュバックする。 今のところ身体の表面に変調は見られないようだが、いつどんな症状が現れるか判らず不安が波のように押し寄せてきた。 ―――まさか、あれには宇宙人の卵か何かが入っていて、今頃お腹の中で……。そういえば、何かされたような感じが……。 途端に全身が恐怖と悔しさと絶望でガクガクと震えだし、喉から嗚咽が漏れ出してくる。 「う……あぁ………うわあぁぁぁぁぁぁん!!」 「おい、レナ? どうしたんだよ!?」 圭一はいきなり抱きついてきて泣き喚くレナを何とか落ち着かせようとするが、彼女は極度のパニックを起こしていた。 「いやだっ! レナのお腹の中に奴らが、奴らがぁ……っ!」 「落ち着けっ! 俺がついてるから!」 放っておけば、自分自身で本来の意味での綿流しをやりかねない勢いだ。 仕方なく、圭一が半ば強引に抱き締めて懸命に宥めると、レナは何とか泣きじゃくる程度にまで落ち着いた。 「ひっく、ご、ごめ、ごめんね……。うっ、で、でも…、レナ…は、……も、もうすぐっ、し、死んじゃうの……っ!」 そして、自分が宇宙人から謎の液体を飲まされたことを涙ながらに訴える。 しかし、それに対する圭一の返事は意外なものだった。 「あ……。それは違うんだ。あれを飲ませたのは俺なんだ」 「……えっ? ど、どういう…こと?」 レナは不審げに圭一の顔を見上げる。 「か、勘違いするなよ? レナに飲ませたのはちゃんとした薬だし、非常時だったんだからな!」 圭一は、近頃のレナの様子がおかしいことに気付いていた。 ふとした事からそれを梨花に話すと、彼女は極めて深刻な表情でレナが雛見沢症候群を発症しかけている可能性を告げた。 そして、二人で一緒に入江診療所に出向き、入江に事情を説明すると、彼は快く治療薬を渡してくれた。 幸いなことに、あれから研究を進めた結果、注射ではなく、暴れるような患者に摂取させやすい飲み薬としての治療薬が新たに開発されており、それさえ飲ませれば一応は大丈夫とのことだった。 しかし、飲み薬になったとはいえ、L5になりかけている相手に薬を摂取させることは、下手をすれば返り討ちに遭いかねないことを、梨花はこれまでの経験から充分承知していた。 そのため、あまり気は進まないものの、レナと互いに信頼しあっている圭一に全てを託したのだった。 最初は何とか口車に乗せて飲ませるか、持ってきた飲料水に混ぜて飲ませる作戦だったのだが、予想に反していきなりレナが襲い掛かってきたため、万一に備えて梨花から預かった目潰しスプレーと、護身用の金属バットを使い、やむを得ず口移しで飲ませることになってしまったというわけである。 「だからさ、レナ。宇宙人なんてのはレナの幻覚」 「嘘だッ!!」 説明を終えかけた圭一に浴びせられたのは、耳を劈くようなレナの怒声だった。 「レナは病気になんかなってない! あれは間違いなく奴らだったんだから!」 症状が一応は治まったはずのレナがここまで圭一を否定するのは、好きな人を化け物顔の宇宙人と認識してしまったことを認めたくなかったからだった。 しかも、見間違えるだけでなく、懸命に自分を助けようとしてくれた彼を殺そうとまでしたのだから……。 圭一は再び興奮状態となったレナを何とか宥めようとするが、彼女は頑として譲らなかった。 「レナ、落ち着けよ。なっ?」 「信じない、レナは絶対信じないから! どうしても信じさせたいなら、あれが圭一くんだったってことを証明してみせてよ!」 これにはさすがの圭一も困り果ててしまうが、しばらくして、レナを信じさせる一つの方法を考え付く。 少しばかり犯罪な気もするが、これも好きな女の子を助けるためだと自らを無理やり納得させる。 というか、ついさっきやりかけたわけだし……。 『口移し編 解(圭一×レナ)』を読む。 そして、押し黙っているレナのほうに向き直ると、真剣な表情で話しかけた。 「レナ、もし証明することができたら、俺の話を信じてくれるんだな?」 「……あはは! いいよ、信じてあげる。証明なんて、できるわけないけど!」 「できるさ。それも、今すぐにな」 言うなり圭一は、いきなりレナを床に敷かれてあるシーツの上に組み伏せ、無理やり唇を重ね合わせる。 「なっ!? んっ、ちょっと、圭一く……」 レナは不意の出来事に面食らいながらも、彼を押し退けようと両手で力一杯胸を押し、膝をばたつかせるなどの抵抗を試みるが、如何せん弱った身体ではどうにもならず、彼にされるがままとなる。 やがて、レナの呼吸が苦しくなってきた頃、圭一はようやく唇を離した。 「……どうだ。信じる気になったか?」 圭一の問いに対し、レナは息を切らせつつも無言のまま顔を背ける。 ただし、嫌悪の表情は見せず否定もしなかった。 唇から中には入ってこなかったものの、あの時、宇宙人にされたのと同じ口付けの感触だったことをレナは思い出したのだ。 それと同時に、奪われる形だったとはいえ、ファーストキスの相手が圭一だったという事実はもはや疑いようがなく、彼女を心の底から安堵させるのだった。 そんなレナの様子を見て、圭一は内心では自分の話を信じたことに気付いたが、口には出さずに彼女の髪を撫でながら、わざと意地悪な笑みを浮かべる。 「しょうがねぇ。こうなったら、信じてくれるまでとことんやるしかねえな」 「えっ―――? んんっ!」 驚きの表情でこちらに顔を向けるレナの唇を、圭一は自分のそれで再び塞ぎ始める。 今度は優しくゆったりとした動作で……。 「んーーーーっ! う…んっ……!」 抗議の呻き声が漏れているが、今度は手足をばたつかせることなく、レナは大人しくそれを受け入れていた。 それを確認すると、圭一は一旦唇を離し、そっとレナの耳元で囁く。 「信じたならはっきり言えよ。だけど、言わないなら俺も今度は容赦しないぞ?」 「ふぅ…ぁ……」 レナは紅潮した虚ろな表情で呻くのみだった。 まともな返事などできるわけがない。二度のキスで脳内を甘く刺激され、すっかり脱力させられてしまったのだから。 ―――あれ…レナ、どうしたん…だろ? 力が…入らない…よぅ……。 そんなレナに、再び圭一がニヤリと笑みを浮かべる。 「ったく強情だよなぁ。……じゃあ、覚悟はいいなぁ?」 「…う…待っ…て、レナ…信じるよ。信じるからぁ……。んぅ―――」 やっとの思いで紡ぎだした言葉を圭一は敢えて聞き流す。 そして予告どおり、今度はやや強引にレナの唇を奪い、抉じ開け、舌をじわりと中へ侵入させ、怯えたように逃げ回るレナの舌を緩やかに捕らえて絡ませることで、これ以上の発言を封じてしまう。 ―――あっ……やっ…圭一…くん…の…うそつ…きぃ……。 さらに、無抵抗なのを良いことにレナの胸をお触りし始めた。 衣服と下着越しながら、程よい大きさの膨らみが、彼の掌に包まれて丹念に揉み込まれていく。 ―――ひゃ…う……ぅ…うあ……いやぁ……えっ…ちぃ……。 口を塞がれていなければ、とっくに喘ぎ声が漏れていただろう。 ここにきて、レナは彼が口付けだけで済ませるつもりではないことを悟るが、すでに手遅れとなっていた。 彼の腕が別の場所へと伸びてきたのだ。 普通ならこうなる前に圭一の顔面に光速パンチをお見舞いするのだが、全身の力が抜け落ちている今となっては、彼の胸を弱々しくポカリと叩くのがやっとだった。 すると、叩いたお返しだと言わんばかりに、圭一はレナの肩や腰に腕を回して完璧に捕獲し、身体をぎゅうっと密着させて、彼女の艶かしい肢体がうごめくのを全身の肌で感じ取り始める。 ここまで密着されては、もはや逃れるどころか押しのけることも不可能だ。 すでに彼の唇はレナの口から離れ、頬や首筋を沿うように舐め回していた。 それにより、今まで漏れることのなかった彼女の喘ぎ声が徐々に解放され始める。 声を聞かれる恥ずかしさに耐えられず、何とか喉の奥に押し込めようとするものの、それ以上に圭一の愛撫が堂に入っており、とても抗えるものではなかった。 「……ふぁ…んぅ……だめぇ…っ…やめ…てぇ……やぁ…っ…」 そして、そんな声の一つ一つが圭一の脳内をさらに蕩けさせていく。 もはやレナは、舌なめずりする貪欲な狼に捕らわれ、弄ばれる哀れな子羊でしかなかった。 理性までも削ぎ落とされかけている彼女の脳内を占めているのが、食べられる恐怖ではなく、くすぐったさを伴う快感という点が異なってはいたが。 ―――はぁ…ぅ。 せめてもの抵抗として―――いや、彼に屈服した意味が大なのかもしれないが―――レナも圭一の背中に腕を回し、自らの身体、特に胸をきゅっと押し付ける。 どうやら効果はあったらしく、圭一の抱き締めてくる力が俄然強くなるのを感じる。 やがて、腰に回されていた腕がスリットの間から静かに侵入して柔らかな肌を這い回り、肩を抱いていた腕が着ている服を器用に剥ぎ取り始め、同時に首筋をなぞっていた頭が胸元の膨らみへと滑り落ちていくのを、彼女は何一つ抗おうともせず従容と受け入れる。 レナがその身の全てで圭一を求め、彼が痛みを伴う行為でそれに応えたのは、それから間もなくのことだった。 肌合し編(圭一×レナ)へ続く
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ホームワーク もしかして、これを知られるのを恥ずかしがっていたのか?考えて、圭一は顔が熱くなるのを自覚していた。 感じてくれているのが嬉しくて掬い取っては塗りたくり、くすぐり。圭一の指が少しずつ魅音の緊張をほぐしてゆく。 「はぁ……、ぁぅ……ん…………っ」 少しずつ溢れる液体の源泉を辿るように、狭いそこをかき分けて。 魅音が痛みを感じないように、許容範囲まで入れては抜き、指を濡らしては押し込みを何度も繰り返した。 指を根元まで差し入れると、魅音は腰を震わせて大きく息を吐いた。 「はぁ……っぁ、ぁあ……」 その表情に、痛みの色はなく。様子を見ながらゆっくりと出し入れを始めた。 胸を責める事も忘れ、次第にスムーズになる指の動きに、圭一は陶酔してゆく。 ちゅ、くちゅ、ちゅ。 きゅうっと指を締め付けてくる感触が、もうとっくに興奮しきっている圭一のモノに更に力を与える。 はぁ、はぁ、はぁ。 この先への期待に、息が荒い。 「ぁ、ふ、ふぁ……っ」 魅音が恥ずかしそうに、控えめに鳴く声に、自然と手の速度が上がる。 あ、なんかこの光景見た事があるような。こういうの、なんて言ったっけ……。 こんな状況で脳裏を掠めた感覚を反芻しながら、圭一は息を弾ませて、指を蠢かせる。 その度に、魅音もまた肩を震わせて熱い息を零した。 「圭ちゃん……」 俺の下で。熱の篭った声が、俺を呼ぶ。 ……はぁ、はぁ、はぁ。 その声を聞くだけで、俺の荒い息が尚更荒くなる。 「もう、……もう無理ぃ……っ」 ……くらっ。 魅音の口から漏れる滅多に聞けない甘い声に、懇願する声に。 思わず意識が遠のきそうになる。 それをぐっと堪えて。 「魅音……っ」 バンっ。 俺はいい加減我慢も限界で、魅音の顔の横に乱暴に手を付いた。 一筋の汗が額から顎へと伝い、落ちる。 「ふぇ……。……けい、ちゃぁん……」 ゆっくりと、魅音の潤んだ目が、俺を見上げる。 俺は赤い顔のまま、魅音へと顔を近付けて……軽く、口付ける。 そのまま唇を吸うと、魅音の中が、お返しとばかりに俺の指を締め付けて来た。 いつの間にか先程までの、一度通った道筋を追うようなおかしな感覚は消えていた。 にゅる、ぬ、ぬる、ちゅぷ。 指を少し速めて抜き差しさせると、淫らな水音が、俺の鼓膜と理性を打つ。 そのまま舌を差し入れて口も責めた。 「ん、んん、ん……っ」 魅音のくぐもった声に興奮して、俺は待ちきれずにたぎったモノを取り出して。自分の手で、慰め始める。 それはもう、とっくに先走りで濡れていて魅音に入りたくて震えている。 普段やっているように手でしごくと、不覚にも腰が震えた。 ……ヤバい、いつもよりも全然いい。 予測以上の快感が、背筋を走る。いつもと違うのは、想像ではなく目の前で乱れている魅音の姿。 その声、熱、柔らかさ、甘い香り。何より、その表情。 その存在を感じるだけで、それだけで、こんなに感じてしまう。中にも入れてないのに先を感じるが、もう手は止められない。 圭一は頭の中で自分のモノと指を重ね合わせ、夢中で指で魅音の中をかき回した。 「や、ぁ……っ!」 一層強い刺激に堪らず離れた口から、引いた唾液が互いを繋いで。それが消える前に、もう一度奪う。 「ふ、む、む、……ん~…!!」 ぢゅ、ぢゅぷ、ぐちゅ、ちゅ、ちゅ。 その音が、圭一の手を加速させる。 で、出る、出る、出る……っ!! 全感覚を圭一の一挙手一投足に支配されて、圭一の中に引き込まれて逃げる事も出来ない魅音の舌を軽く噛む。 圭一の背が震えると同時に、びくりと、魅音の身体も震えた。 びゅる、るる…っ。 俺の先から弾ける様に放たれたどろりとした精液が、魅音のお腹に掛かり、その無垢な雪原のような白い肌を汚してゆく。 ぞく、ぞくん。 「は、はぁ、はぁ、み、魅音……っ」 その淫らな姿に興奮して、圭一は自分の中の滾りを最後の1滴まで搾り出すように擦り上げる。 圭一の声にうっすらと瞼を上げたと同時に、残滓が自分に向かって放たれるのが、魅音の目に映った。肌を打つ、熱い飛沫。 どくん。 「………ぁ……ぅ……」 それに、自分の奥底からの衝動が身体を貫いて、魅音はぶるりと身体を震わせた。 ……だめだ、こんなんじゃ全然足りねえ……っ。 半裸のまま、陶然として荒く呼吸をする度に、魅音の大きな胸が上下に揺れ、震える。 萎える事のない分身を掴んだまま、俺はズボンのポケットを探って、コンドームを取り出した。 まだまだ先程の余韻に浸ってとろとろと溢れる魅音の入り口を見ながら。 急かす気持ちを堪えつつ、それを付ける。 「………魅音っ」 閉じた脚を大きく開かせると、魅音が驚いたように身じろぎをした。 「……ぇ、…けい…ちゃ…はぁ、はぁ……ぇえ、な、何……っ」 もう終わった物と思っていたのか、無防備になっていた魅音は俺の腕に強制的に身体を開かされ。 その恥ずかしい格好に赤くなって、慌てて俺の胸を押そうと手を伸ばすが。 ぬぬぬっ。 俺の方が早かった。先端が、魅音の中にゆっくりと沈み込む。 「ぁ、あ……ぅ、ま、待って、まだ、まだ…………っ」 最後まで言わせずに、そのまま根元まで、侵入させた。 まだまだ経験も浅くてきついそこは、入れただけで終わってしまいそうな程、気持ちいい。 うぁ、これ、いい……っ。 入れただけで、動いてもいないのに。先程の余韻が圭一を襲う。 俺が全部を魅音にぶちまけたように。俺が魅音を欲しいと思っているように。 魅音の中もまた、痙攣するように脈打って、俺の全てを余さず受け止めようとしていた。 魅音が俺を欲しいと思ってくれている。 「魅音……っ」 そう思うと、尚更愛しさが込み上げて来て、胸が熱くなった。 動きたい気持ちを堪えて、魅音の責めを味わう。 「は、はぁ……っ」 魅音は突然の圭一の質量に、胸まで貫かれたような錯覚を覚えていた。 その息苦しさに浅い呼吸を繰り返し、身体の力を抜こうとする。 逆説的だが、それが尚更、無意識の内に圭一を締め付けてしまう。 圭一は焦れる気持ちを堪えながらも、先にイッてしまうと絶対に味わえないその快感を、堪能する。 「魅音、……お前の中、すっげえいい。分かるか?ひくひくして、締め付けて来てるぜ」 かぁあああ。 圭一の言葉に魅音はもうすっかりと赤い顔で、泣きそうな表情を見せる。 「そ、そんな事な……っ」 びく。 何かを言いかけた魅音の言葉を遮って、腰をぐん、と一つ強く押し付けた。 脊椎を這い上がる快感に誘われて、そのまま強く腰を動かし始めると、魅音は苦しそうに眉根を寄せる。 「け、圭ちゃ、はぁ……ま、待って……!ホントに、本当に、苦しい、から……っ」 終わりのない快感に、魅音が息も絶え絶えに、圭一に訴える。 強い快感は、まだ不慣れな魅音には、きついようだ。 そうだ。思わず暴走したが、魅音も、俺と同じ程度の経験しかない。 俺は魅音の紅潮した頬を撫でて、目じりに浮いた涙を親指で拭う。 「悪い。……今度はゆっくり、するからな……」 軽く、鼻先にキスをして、安心させるように笑いかける。 「……っ、ん、……はぁ……っ」 胸のそこから熱い息を吐きながら、魅音は不安げな表情のまま、それでも一つこくりと、小さく頷いた。 ずず、ずずず。 ゆっくりと、ぎりぎりまで引き抜いてから。 ぬぬぬ。 再び、静かに沈めて行く。根元まで入ってしまうと、魅音の肩がびくりと跳ねる。 一回出した分、今回は少しは持ちそうだ。俺は奥まで貫いたままで、ゆっくりと身体を揺する。 「ぁ、や……っ」 魅音も、新たな感覚に身を竦ませて震えた。 俺の胸について、握り締められた手に力が篭るのが分かる。 ずずずず、ぬぬぬぷっ。 そして再びゆっくりと抜き差しする。緩やかな刺激にも関わらず、額から汗が伝う。 「ぁ、ぁあ、……っふ、ぅぅ…、……」 魅音は息とも声ともつかない熱っぽい吐息を零して、俺を受け止めようとしている。 その姿が、翻弄される細い身体がいじらしくて、震える唇に軽くキスをした。 思いっきり動けない焦れったさを紛らわそうと、手を柔らかい胸に指を這わせて。 硬く立ち上がった先端を指の腹でこしこしと、擦る。 「ぁぅ、や、それ、……っ」 魅音が微かに何かを訴えたが、構わずに掌全体で廻すように押し付け、撫でる。 「んん、ふぅ……ぁ、あぅ……」 魅音が甘い声を上げ、締め付けをきつくする。 こうしていると、普段気付かなかった魅音の反応がダイレクトに俺に返ってくる。 前から思っていたが、胸はやっぱり弱いようだ。……大きいのに、感度がいい。 緩やかに揺すりあげる度にぷるんぷるんと揺れて誘惑してくる、その魅惑的な膨らみに誘われるように、 圭一は胸に顔を埋めた。その、男にはありえない未知の世界の柔らかさを肌で感じながら、 顔を押し付けて、少し汗に濡れたその白い肌に舌を這わせる。 ずぬ、ぬぷぬぷ。 そのままゆっくりと腰を前後に動かしながら、魅音の胸にむしゃぶりついた。 「……」 魅音の手が、そっと、俺の髪を撫でる。 胸の先端を咥えたまま視線だけを上げると、荒く息を付きながら、魅音は潤んだ瞳で俺を見上げている。 「はぁ……はぁ……圭ちゃん……つ、辛い……?」 圭一が口を離すと、そこから覗く赤い舌から、すっかりと立ち上がった胸の先端へと唾液がつぅ…っと、糸を引いて、掻き消える。 その直視し難い、恥ずかしい光景に魅音はめまいを覚えた。 「?何がだ?辛いのは、お前の方だろ?」 不思議そうな顔をする圭一に、魅音は赤くなる。 「そ、そうじゃなくて……ぁ、あのね……、もう、いいから……っ」 そこまで言って、魅音は言葉を止めた。 分かってない顔をしながら首を傾げる圭一に、魅音は恥ずかしさを堪えながら、仕方なく口を開く。 「……が、我慢してるみたいだし、……その、す、好きにして……ぃぃ…ょ…」 消え入りそうな声で真っ赤になった魅音の誘う言葉に、思わず、腰が震えた。 ……くそ。可愛いヤツめ! こいつ、この状況でその言葉の持つ意味、分かってない。絶対に分かってない。断言する! 「魅音……っ!」 そんな殺し文句を前にやりたい事は沢山あったが、悔しい事に圭一自身がもちそうになかった。 ただ、強く腰を押し付ける。 ずん。 「ひゃう……っ!」 身体の芯まで響く一撃に、魅音がびくりと身体を跳ねさせる。 ずん、ずず、ずぷ、じゅぷ。 動きが速くなると、さっきまでの余裕は嘘のように消えうせて、腰の辺りを痺れるような感覚が襲う。 うわ、も、もう少し、もう後ちょっとだけ……! 唐突に終わりが見えて、圭一は堪えるように、思わず手で弄んでいた魅音の柔らかい胸を握りつぶす。 ぎゅう。 「ぃっ………!」 突然与えられた痛みに苦しげに表情が歪むが、魅音はそれを拒みはしなかった。 圭一は限界がすぐそこにあるのを感じながら、少しでも長く魅音の中を感じていたいと腰を突き上げる。 「ぁ、ぁぅ、ふぁあっ……!」 魅音の方も余裕がないらしく、その声も、自然と大きくなる。 「ぁあ、あああっ!や、あぅ、……け、圭ちゃん、圭ちゃぁあん……!!」 魅音の手が俺を求めて、きゅうっと背を抱きしめる。それが何より嬉しくて、俺にあっさりとトドメを差した。 「は……っ、ぅ、ぁ……っ!魅音……!!」 せり上がって来る射精感に追われるように、最後に思い切り突き上げて。 暴発寸前のモノで魅音の奥を擦り上げると、ぶるっと、お互いの身体が大きく震えた。 一つに溶け合うような感覚の中、互いの視線が絡み。 どちらともなく、唇を合わせていた。 その後、結局お風呂も一緒に入って、魅音がのぼせるほど色々したが、それはこの際ご想像にお任せする。 二人して一つの布団に滑り込んで。 「………」 「………」 一緒に眠ると言うのは流石に初めてで、あれだけ色々したにも関わらず妙に照れる。 魅音も同じなのか、ただ寄り添うだけで、黙り込んでしまう。 暫くしてから、魅音の方から、沈黙を破った。 「………………圭ちゃん」 「ん、なんだ……?」 魅音が、頭を俺の胸に預けてくる。 それこそ、事の最中以外には全く甘えてくる事などない魅音にこんな事をされると、どきりとする。 女の子としての自分に自信がなくて、やたらと照れ屋で、本当に欲しい物を欲しいと言えない魅音。 その内、普段から甘えてくれるようになるんだろうか。 「……ごめん。これからは、もっと勉強、頑張る」 実は結構気にしていたのか、魅音が小さな声で囁く。それが可愛く見えて、圭一は魅音の頭を撫でた。 「おう、そうしてくれ。毎回こんなんじゃ、身が持たん……あ、いや、でもこれはこれで……」 圭一の言葉尻に、先程までの行為を思い出して魅音が真っ赤になった。 がばっと身体を起こして距離を取る。 「へ、変な事考えるなぁ、ばかぁーー!!そ、そもそも!ちょっとは圭ちゃんのせいでもあるんだからね!?」 「はぁ?な、なんでだよっ!?」 突然の魅音の責任転嫁に、圭一は驚いて声を上げる。 「だ、だって、だって……!つ、付き合い出してから圭ちゃんといると、すぐ、へ、変な事ばっかりするしっ! 勉強しようとしても、一人になったら、……ど、どうしても、色々思い出しちゃうしっ、集中なんて出来る訳ないでしょー!!」 コイツ一体、この二ヶ月程、何してたんだよ。 「……あ、あれ?……えーと」 た、確かに、さっきそんな事を思った気がする。え、あれ、俺達が付き合い始めたのも二ヶ月程前? 若干以上の心当たりに、圭一の視線が泳ぐ。 ……いや、その。確かに最後までしたのは確かに最近だけど。 まあなんだ。……それだけが全てじゃないって言うか、そこまで至るための積み重ねが大事だという事で。 日々たゆまぬ努力をした、……ような気も、しなくも、なくも、なくも、ない。 「う、いや、その……」 基本的に、こいつはあまり俺のおねだりを拒否しない。 俺が望めば、困った顔をしながらも、泣きそうな顔をしながらも、うろたえながら、戸惑いながらも。 真っ赤になって、苦手なりに頑張って応えようとする。 それがまた可愛いから、ついついちょっかいを掛けてしまうのだが。 「………………」 今日だって、ついさっきだって。魅音は多少無理しても、俺の意思を受け入れようとする。 その懐の深さに、……いや、俺への想いの深さ、というのは流石に自惚れだろうか? 確かに、そういった部分に甘えていた事は否定しない。しないが―――。 色々と言い訳を考えていた圭一は、顔を赤くして、唇を尖らして上目遣いに睨んでいる魅音の。 素肌に俺のシャツという扇情的な姿に実は既にドキドキしながら、無理だろうなとは思いつつ。 「…………も、もう少し……我慢します」 その無言の訴えと可愛い仕草に、あっさりと折れた。 が。 後に、その言葉が実行されたかどうかは定かではない。 了。
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くちゅくちゅ・・・・・・ちゅぷ・・・。 すぅ~はあぁぁ・・・。 「はぁはぁ・・・。圭ちゃんの匂いがするよぉ・・・。んっ・・・ンフッ」 そう呟きながら、あの勝ち気な魅音が俺の席に座り俺の体操服のズボンの匂いを嗅ぎながら自慰行為をしている。 俺は扉一枚隔てた教室の中で行われている行為を、ただ呆然と見ている事しか出来なかった。 部活が終わりレナと帰っている途中で俺は体操服を教室に忘れた事に気付いた。 今日の体育は久々のゾンビ鬼だったので、全身汗だくになって楽しんだ。 それに明日から三連休なのだ。 大量の汗を吸いキツい匂いのする物を三日も放置しておく訳にはいかない。 考えてみてくれ。そんな状態の体操服を次の体育で着るのには抵抗がある。 レナに先に帰っておいてくれと言って、俺は急いで学校に戻って教室へと向かった。 そして教室の戸を開こうとした時、「カタッ」中から微かに音が聞こえた。 (泥棒? いや・・・ネズミか?まさか幽霊!?落ち着け!Koolになれ前原圭一!) そんな事を考えながら恐る恐る戸の隙間から中を伺った・・・。 んで場面は冒頭に戻る訳だ。 「圭ちゃん・・・。好きだょお・・・。もっと、おじさんの大事な所いじめて・・・はぁはぁ」 夕日の差し込む教室で、口の端からだらしなく涎を垂らし、鼻息荒く体育服を嗅ぎ普段とは違った甘えた声で鳴きながら自らを慰めている巨乳委員長。 これ何てエロゲ? しかも俺の事が「好き」? 中を覗き込むのを止めて俺は考えた。 Why? まあ好きと言われて嫌な訳が無い。 むしろ嬉しかったりする。 だが自分がオカズにされているのは複雑な気分である。 しかも男友達のように思っていた仲間にだ。 そんな事を考えながら、俺はかつて無い程興奮していた。 「んっ!んあっ!ああっっ!!」 さっきより大きい喘ぎ声で我に戻り中を覗き込むと、魅音がスカートを捲りあげパンツを脱ぎ股間を右手の中指で擦りつつ、残った左手で体操服のズボンを顔に押し付けていた。 「んあ・・・」「クンクン」「くちゅくちゅくちゅ」 喘ぎ声と、やらしい水音が薄暗くなってきた教室の中に響く。 『もっと近くで見たい。聞きたい』 プツッ。 俺のちっぽけな理性は崩れさり、無意識に手を動かし戸を開いていた。 ガラッ! 「っ!?だ、誰っ!!??」 「よう、魅音。お前何してんだ?ん?」 「け、けけけ圭ちゃんっ!?」 「ところで、俺の席で何やってるんだよ?」 「あ、あう・・・」 顔を真っ赤にして泣きそうな顔で俯く魅音 くっくっく。堪らねぇなあ。あの魅音の泣きそうな顔だぜ? さて。どう料理してやろうか? 「あれ?それって俺の体操服だろ?何で魅音が持ってるんだよ?」 「あっ!」 魅音は状況がようやく理解できたのかサッと体操服を背中に隠し 「えとえと!あ、あああああの!な、何の事だかおじさん!わ、分からないなっ!!あ、あははは・・・。」 慌ててるのか捲りあげたスカートを下げるのも忘れている魅音を見ていると、笑いが込み上げそうになる。 それをグッと押さえ、ゆっくりと魅音の方へと歩き出した。 「そ、そうだ!!お、おじさん今日バイトなんだよね!いいい、急がないとっ!」 そんな事を言いながら素早く立ち上がり逃げようとする。 「おい」 ガシッ。 そこで魅音の腕を掴み顔を近付け、低い声で凄む。 「何、逃げようとしてんだ?あぁ?」 ビクッと肩を震わせ、魅音が恐る恐る顔を上げながら言う。 「バ、バイトがあるかr」 「ふざけんじゃねぇっ!!何抜かしてんだぁ?!」 「ご、ごめんなさい!」魅音は腰が抜けたのか、その場にへたりこむ。 Vシネで見たヤクザの真似が役に立つとはな。 ん?コイツん家ってヤクザじゃなかったか? まあ、良いや。 俺は魅音の顔を見下した表情で睨み付ける。 「仲間と思ってたのになあ~。ガッカリだぜ?まさか人の体操服でオナニーしてるとはな」 「ご、ごめんなさい。 グスッ。許してください」 泣きながら謝る魅音。 「何であんな事してたのか聞いて無いのに許せる訳無いだろ」 「うっうっ・・・。ごめんなさい」 同じ事を繰り返し言うので、イライラしてきた。 「いや『ごめんなさい』じゃなくて、『何であんな事してたのか』聞いてるんだぜ?」 「グスッ・・・。皆が帰った後、おじさんのロッカーの整理しようと思ってたら・・・圭ちゃんの机に体育服入れが掛かっているの見つけて・・・」 俺は腰を下げ魅音と目を合わせながら問い掛ける。 「それで、その後どうしたんだよ?」 「さ、最初は圭ちゃんに届ようと思ってんだよ?・・・でも悪戯のつもりで中を見てみようって思っちゃったの・・・」 「ふ~ん。それで?」 「開けたら、汗臭くて・・・に、匂いを嗅いでみたんだよ。そうしたら頭がボーッとしてきて、気持ち良くなってきて・・・気が付いたら、オ、オナニーして・・・ました」 あははははは!!こいつ真性の変態だな!匂いで興奮? ん?まさか、罰ゲームで俺に着せた衣装も・・・? 「お前、まさか罰ゲームの衣装とかの匂いも・・・」 「罰ゲームの衣装も匂いを嗅いでいました・・・。お、お願い圭ちゃん!皆には言わないで!何でもするから!」 リーチ♪匂いフェチ確定。 くっくっく。決めた。こいつを調教して俺の肉奴隷にしてやるよ。 「おいおい匂いフェチかよ?とんだ変態がいたもんだなあ? 見つかったのが、お前が大好きな俺で良かったなあ?」 「!?」 『何で圭ちゃんが好きなのが分かったの?』みたいな顔で見てくる魅音。 「オナニーしながら俺の事『好き』とか言ってたぜ?まあ皆には黙っておいてやるよ」 「ホ、ホント?」 ああ本当だよ。両方な! 「だから泣くのやめろよ」 「・・・うん!」 魅音は泣き腫れた両目を手でゴシゴシこすってニッコリと笑う。 ヤバい可愛い・・・。胸がキュンとした。 思わず頭を撫でてしまいそうになる。 だが、その前にキッチリ調教してやらないとな。 「ああ、そう言えば何でもするんだったよな?・・・とりあえず」 ジジーッ。 ズボンのチャックを開け息子を取り出しながら言った。 「しゃぶれよ?」 俺は立ち上がり息子を顔の前に持っていく。 「えっ?・・・じょ、冗談でしょ?」 魅音は目の前に突き付けられた息子を見て顔を赤くして目を逸らす。 「フェラ、尺八、口ま〇こ、色んな呼び方があるよな?やり方位は知ってるんだろ?」 「な、何でもするって言ったけど!これは酷いよ!こんなのって・・・」 そう魅音は顔を強張らせて拒否した。 「別に無理にとは言わないぜ?お前が明日から『変態匂いフェチ女』か『発情乳牛』って呼ばれるだけだしなあ?」 そう言うと魅音は黙って何かを考え出した。 数分後、ノロノロと顔を上げ言った。 「・・・分かったよ。する・・・」 そう言うと、おずおずと息子に手を伸ばし両手で優しく握った。 「・・・どうしたら良いの?」 「そうだな~。まずは全体にツバを塗り込む様に舐めろ」 そう言うと何回かチラチラと俺の顔と息子を見た後、決心した様に舌を突き出し舐め始めた。 「んっ・・・ピチャ・・・チュッ」 「うっ・・・」 ザラザラとヌメヌメを合わせた、くすぐったい様な初めての感触で思わず声が出る。 「こうで良いの?」 「ああ、良いぞ。次は先をチロチロって感じで舐めてくれ・・・うおっ!」 舌を尖らせてチロチロと亀頭の先を舐めさせたら、あまりの気持ち良さに腰が引けてしまった。 「ご、ごめん!痛かった?」 オロオロしながら魅音が聞いてくる。 「いや大丈夫だ。気持ち良いぜ」 「そっか・・・。良かった」 ホッとした表情で、そう言うと息子を再度舐めだした。 魅音は慣れてきたのかリズム良く、ぴちゃぴちゃと子犬の様に舐めていた。 こうして五分程舐めさせた後こう言った。 「次は口を開けて咥えれる所まで良いから咥えろ。歯ぁ当てるなよ?」 「ん・・・。ほふれひひほ?(こうで良いの?)」 口の中は暖かくてヌルヌルしていて気持ち良い、てか咥えながら喋るな。 そう思いながら次の指示を与える。 「唇を締めて吸いつつ頭を動かせ。あと咥えながらさっきみたいに舌で全体的にねぶれ。んで、これをランダムに繰り返してくれ」 そう言うと、ぎこちなくだが頭を前後に動かしだした。 流石は部活メンバーなだけあって慣れるのが早いらしく、今まで味わった事の無い気持ち良さを俺に与えてくる。 「ん・・・ふぅ・・・」 ジュポジュポと音を立てながらトロンとした目でしゃぶりつく魅音を見ていると意地悪をしたくなってきた。 「へへへ。体育で汗かきまくったから美味いだろ?お前匂いフェチだもんな?口の中で色んな匂いが味わえて良かったなあ?お預け食らってた犬みたいに嬉しそうにしゃぶりやがって、このドスケベが!」 そう言うと魅音は顔を真っ赤にして目に涙を溜めて首をフルフルと横に振る。 首を横に振る事によって亀頭が頬に当たって気持ち良い。 「はあっ・・・ん。嘘をつくなよ?その証拠に首を振る振りして頬に亀頭を擦り付けやがって・・・」 言い過ぎた。本当に泣かせてしまった。 「酷いよ圭ちゃん・・・。おじさん変態じゃないよ?ただ圭ちゃんに気持ち良くなって欲しくて頑張ってたのに・・・」 慰めたくなるが、ここで折れたら調教の意味が無くなってしまう。Koolになれ前原圭一! 「メソメソ泣く暇があったらさっさとやれよ?園崎家当主代行からドスケベ部長にジョブチェンジしたいのか?」 そう言うと泣きながらまたしゃぶりだした。 「ヒック・・・グスッジュポジュポ・・・ふぇ・・・」 それから十分程経っただろうか、しゃぶりながら嗚咽を洩らすので、心地良い刺激を与え続けられ限界が近付く。 「魅音!そろそろイクぞ!全部飲めよ!」 「ちゅぱ、ちゅぽ・・・んっ!んぐっ!?」 ビュルッ!そんな音がするかのごとく魅音の口の中に欲望の塊を吐き出す。 「んっ!?んむっ!・・・ふぅ・・・ん・・・」 「そのまま吸って一滴残らず吸い出せよ?」 「ぢゅ~っ・・・ちゅぱっ・・・ゴックン」精子を飲み込んだ事を確認すると、その場に俺はへたりこんでしまった。 「ふぅ~。気持ち良かった、お前才能あるぜ?」 くっくっくと下卑た笑い声をあげながら言うと、魅音が俺の方を見ながら口を開いた。 「これで皆に黙っててくれるんだよね?」 「ああ・・・。約束だからな、まあ俺もやり過ぎたな。だからお詫びに・・・」 まだ塾に通ってた頃、講師がこう言ってた気がする。『良いか!調教には飴と鞭が重要だ!忘れるなよ!』 うろ覚えだが、まあ良いか。ともかく一回射精すると落ち着くと言うのは本当らしい。 思考がクリアになり、これからの調教計画が頭の中で組み立てられていく。 そして素早く魅音の後ろに回り込み腰に手を回して抱き抱える。 「け、圭ちゃん?」 「・・・お詫びにお前もイカせてやるよ!」 そう言うと魅音の股間に手を伸ばし薄く生えている陰毛を掻き分け、割れ目に沿って擦る。 だが慌てふためきながらも魅音は抵抗する。 「嫌っ!止めてよ!さっきので許してくれたんじゃ無かったの!?」 「はあ?皆には黙っててやるとは言ったが、俺はまだ許して無いぞ?それに嫌だとか言いながら、すげぇ濡れてるじゃねぇか?まさかチ〇ポしゃぶりながら濡らしてたのか?」 わざと音を立てながら愛撫するとフルフル震えながら魅音は俯く。 「匂いフェチでマゾ気味な変態じゃねぇか?」 「ふぇっ・・・お願いだから、もう許してよ・・・。んっ!はぁん!」 ちゅぷっ! 中指を挿入すると甘い声を出して指を締め付ける。 「天下の部長様が聞いて呆れるぜ!こんな変態を野放しにする訳にはいかねぇな!」 強弱を付け、速くしたり遅くしたりしながら指を出し入れしつつ、親指でクリトリスをこねくり回す。 「あっ!んあっ!あんっ!んっんっ!」 「イキたかったら『私、園崎魅音は汗の匂いに欲情する変態マゾ雌です。どうか前原圭一様のペットにして可愛がってください』って言えよっ!!」 「んあっ!あんっ!わ、私ぃ、園崎!み、魅音は!はんっ!汗のに、匂いに欲情する変態マゾ雌ですっ!どっどうか!前原圭一様のペットにしてぇっんっ!可愛がってくださいぃぃぃ!!」 「その言葉絶対忘れるなよ!おらっ!イっちまえ!魅音!」 「ひあっ!イクッ!イっちゃう!ああっっ!!?」 中指を奥まで挿入し、親指と人差し指でクリトリスを摘み上げると身体を弓なりに逸らしながら魅音は絶頂を迎えた。 指を引き抜くと、まるで手の平に水が掛かったように愛液が滴り落ち床を濡らした。 「はあはあ・・・」 時折痙攣しながら余韻にひたっている魅音を抱え起こすと耳元に顔を近付け、こう言った。 「良いか?魅音?お前は今日から俺の彼女兼肉奴隷だ。お前みたいな変態を放置しておくと村に迷惑がかかる。だから、俺直々に彼氏兼御主人様になってやる。分かったな?」 魅音は蕩けた顔で頷いた。 <続く> 兎の様に(前編)
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玄関を開けると、外に漂っていたのよりもさらに濃いシチューの匂いが漂ってきた。 なんとなく匂いで、これはウチから漂っているものなんだなと感じてはいたが、 本当にシチューだと知ると、なんだか心が通じたみたいでうれしかった。 「ただいまー、礼奈」 「お帰り、あなた」 礼奈がシチューをかき混ぜながら返事をした。 圭奈を出産してから一ヶ月。 辛い体を動かして、毎日毎日かいがいしく家事をしてくれたことを、 感謝したい。 俺の稼ぎが少ないことに、一言も文句を言わず、 礼奈は頑張ってくれている。 ……のに。 俺は、汚れたやつなんだろうか。 礼奈の背中を見るたびに……欲情してしまう。 今まで後ろから、なんてしたことは無い。 礼奈が怖がるからだ。 いつも正面から向き合って、お互いを確かめ合うようにしていた。 「なぁ、礼奈……いや、レナ」 「ひゃ、な、何? あなた?」 「なんだ、その……昔みたいに、圭一くんって呼んでみてくれないか?」 俺は、背中から礼奈……いや、レナに抱きついて、 エプロンの肩紐を片方だけはずした。 「や、やめて、あな……ぃち君」 「何だって?」 俺はやっぱり汚れている。 こういうレナを見て、 意地悪したくなってしまう。 もう片方の肩紐をはずし、エプロンは最後の砦、腰紐だけを残し、 前がぺろんとめくれる形になってしまった。 「恥ずかしいよ……ぃち君だなんて……」 「なんでだよ? 俺はレナって、ちゃんと言えるぜ?」 レナの胸に、手を滑り込ませた。 昔、ちょうど手に収まるほどの大きさで、 とろけるように柔らかかったそれは、 今では固く大きくなっていた。 中に詰まっているものが違う。 今のレナは、一児の母なのだ。 「あっ……圭一くん! シチューが焦げちゃう!」 「やっと、呼んでくれたな」 じたばたともがくレナの口をふさぐように、キスを要求する。 無理やりなキスじゃない。 なんせ、後ろからなのだから、 レナが後ろを向かない限りできない。 レナの口の中に舌を突きいれ、 レナもそれに応えてくれた。 そして、レナのたった一つの憂慮すべき点である、 作りかけのシチューの火を消して…… そのまま俺たちは崩れ落ちた。 「レナ、レナ、いいだろ? 俺、ずっと、ずっと……」 「ごめん……私のせいだよね?」 レナが妊娠してから、ずっとレナを抱きしめていなかった。 「私が……その……手とかでしてあげたら……」 「俺……レナのいいつけ通り、一人でもしなかったんだぜ? 信じられるか? 十ヶ月も!」 「え、あはは、やだなぁ、アレ、冗談だったのに、きゃっ」 もう、胸なんかいじくるのはじれったい。 上のセーターやエプロンは脱がさず、 スカートの下のショーツだけ脱がし、 俺は、自分のいきり立ったものを取り出し、 レナの入り口へとあてがった。 「やっ……圭一くん……そんな濃いの入れたら、 また妊娠しちゃう……」 そんな台詞は、俺を加速させるだけだった。 「レナをもう一回妊娠させたい!」 思いっきりレナを抱きしめる。 それと同時に、俺のペニスがレナに侵入した。 「あふっ……け、いちく……出てる……」 情けないことに、入れた瞬間すさまじい快感と共に、 精液を放出してしまった。 一人の子供を生んだとは思えないそこは、 久しぶりの俺にはきつすぎた。 「このまま……もう一回!」 「あっ、だ、ダメだよ、圭一くん! シチューが、出来ないよ」 「俺はシチューも食べたいが、レナをそれ以上に食べたいんだよ」 そういって、セーターを半分だけ脱がし、 ブラも半分ずらしただけで、レナの胸にしゃぶりつく。 「やぁああっ、出ちゃうよ、圭一くん……あっ」 レナの乳首にしゃぶりついていると、 ほんのり甘い液体が口の中に広がった。 「け、圭一くん赤ちゃんみたい……よしよし」 そう言って、頭をなでなでするレナ。 それを聞いて、ちょっとムッときた俺は、 レナの中に力強く挿入した。 そのまま、レナに裏返ってもらう。 四つんばいの姿勢だ。 俺はレナに覆いかぶさり、 そのまま胸をもんだ。 「あぅ……胸ばっかり、いじめないで……」 「もっともっといじめてやる!」 膝をついてレナの尻を掴み、 そのまま動いた。 俺も初めての感覚に酔いしれる。 こんな姿勢のレナを、後ろから眺めるなんて初めてだ。 レナは四つんばいをやめ、 腕を崩している。 まるで、獣の交尾だった。 「レ、レナの好きな、猫さんみたいだな」 「に、にゃー、あはは、っ!」 俺の腰の動きが、勝手に加速する。 もう、意識は遠いどこかへ飛んでいた。 「あぅっ、激しいよ、圭一くん!」 服を着たまましているというのも手伝ってか、 俺の昂ぶりはすぐに上限まで達した。 だというのに、俺はまだ腰を振っていた。 「あぅ、出てる、け、いちくっ!」 レナが急に、くたっとなる。 「はっ、はっ……け……くん……はぁ……」 「レナ……」 二人とも安アパートの木造床のキッチンで、 板をぎしぎしと言わせながら、絡まりあった。 「ぁなた……のせいでシチュー冷めちゃったじゃない」 「う、ごめん、れ……な」 「うん? 誰に言ったの?」 なぜか、お互いが最初に、あなたやら礼奈やら言い始めた時みたいな、 微妙な恥ずかしさが漂う。 「れ、レナ」 「レナ? 誰かな? 誰かな? うふふ」 「あ、それ久しぶりに聞いた」 俺は、笑って誤魔化した。 「あなた、子供が生まれたら、もっと頑張ってくださいね。はい、シチュー」 「おう、そんときゃ、俺が社長だ」 「あはは、そんなところは変わってないね……」 「礼奈もな……」 そっと、レナが差し出したシチューを持つ手に、 自分の手を添える。 「いつか、家族四人でシチューを食おう。 そうすりゃ、食費も安上がりだ」 「ええ、もちろん」 レナ特製の貧乏シチューは、材料費わずか五百円ながら、 国家予算を出したって買えないレナの愛という食材のおかげで、 今日も俺の胃袋に好評だった。 幸せのシチュー ―完―
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前原君の様子が変だ… 初めて彼を見たとき、私はクラスにうまく溶け込めるか心配だった。 しかし園崎さん達と瞬く間に仲良くなり、あっという間にクラスの中心になった。 元気な彼を見ていると飽きることがない。勉強もできるので私も自然と頼るようになった。 だが綿流しの翌日、大石という刑事が前原君あてに訪ねてきてから彼は豹変する。 何かに怯えているようで誰にも話しかけないようになった。 バットを常に持ち歩くようになった。 言葉遣いも荒々しくなった。 クラスメイトを避けて1人でいるようになった。 彼が何か大きな悩みがあることはすぐに分かった。そして悲しくなった。私に相談してこないから。私では相談する価値が無いの?教師としては頼りないの? だけど自分から声をかけることができなかった。「先生には関係ない」そう言われるのが怖かったから。 教師ならば職員室に呼び出して面談するべきなのだろう。だけどできなかった。自分の気持ちに気づいてしまったのだ。 きっかけは些細なこと。日直だった彼と用具室の整頓をした時、上まで積み重ねてあった箱が私に向かって崩れ落ちてきた。一瞬気が遠くなったが、気がつけば彼が私を抱きしめていた。彼もこの状態に気がついて真っ赤になって離れてしまった。すぐに事情は分かった。 彼は私をかばってくれたのだ。 「俺は男ですから」と照れ笑いを浮かべながら話す彼を見てから、私は意識してしまったのだと思う。 何ということだろう。私と前原君は教師と生徒の関係でしかない。でもそれ以上の感情を私は持ってしまった… 絶対に知られてはいけない彼への感情。彼を見ているだけで心の中がざわめく。 私は今まで通りに彼に声を掛けられない。何かの拍子に教師の仮面が剥がれてしまってはいけない。誰かに悟られてはいけないから。 このままではいけない。彼が奈落の坂を転がり落ちていくのを止めなくてはいけない。そう思って彼の自宅を訪問しようと決意した。 彼の自宅に到着し、チャイムを鳴らす。しばらく待っても反応がなく、もう一度押そうとした時に突然ドアが開いた。 「……先生ですか。何のようです?」ドアチェーン越しに状態で前原君は顔をのぞかせた。目を合わそうとせず、ドアチェーンも外さない。……それは完全な拒絶。彼は今誰にも心を開いていない。 「前原君にお話があります。ちょっとお邪魔していいかしら?」 「……今忙しいんです。明日にしてもらえませんか?」 やはり私さえも信用していない。……でもあきらめるものか! 「貴方に何が起こっているのか知りたいんです!…貴方に一体何が起こっているの?悩みがあるのは分かっていま す。…だから教えて!貴方が苦しいのなら力になりたいんです…」 「……」それでも開けてくれない。あまりにも心が苦しくてとうとう涙が零れてしまった。 いけない。こんな姿を見せてはいけないのだ。顔を彼からそらせて涙を隠す。 彼から後ろを向いて涙を拭いているうちにチェーンを外す音が聞こえた。 「どうぞ…入ってください」ぶっきらぼうな彼の声。でもそれは精一杯の好意。嬉しさをかみ殺して平静を保つ。 「お邪魔します」 私を招き入れてからすぐにドアを閉めてチェーンを掛ける。尋常ではない警戒ぶりを見て、彼が何か危険なトラブルに巻き込まれていると厭でも分かった。 リビングに腰を落ち着けると彼がお茶を持ってきた。早く事情を聞きたいが、彼が口を開くのを待つ。 知恵先生は雛見沢の出身ですか?」 「違います。私は教師として分校に赴任しているだけで出身は別です」 彼は少しだけ表情を緩めたが、すぐにまた厳しさを増した。 「先生には信じてもらえないかもしれません。こんなとんでもない話は……」 「いいえ、私は信じます。あなたは非常に危険な状態にあるんじゃないですか? 話して頂いたら一緒に対策を立てられます。……だから話して下さい」 そう、彼は誰も信じられない状態にある。でも私だけは信用してくれたのだ。私は彼を信じなければならない。彼はじっと私の眼をのぞきこみ、少しずつ話しだした。 聞かされた話は彼の言うとおり信じがたい話だった。「雛見沢連続怪死事件」が御三家の陰謀であること。そして竜宮さんが茨城で起こした事件。 警察が園崎さん達を事件の中心人物だと疑っていること。おはぎに針が入っていたこと。園崎さんや竜宮さんの豹変。 …確かに普通ならば信じがたい話だった。でも私は信じる。『前原君を信じる』ことが大前提なのだ。それに彼の話も辻褄はあっている。 ダム戦争当時から分校に赴任した私も園崎家の噂はよく知っている。お魎さんとも何回も会って人柄も知っているが実際に毎年死者と行方不明者が出ていることは確かなんだ。 「分かりました。まず前原君の安全を確保することが最優先ですね。ご両親はいらっしゃいますか?」 「いえ…出張に出ていて今週いっぱいは帰ってきません。…先生は俺を信じてくれるんですか?」 「初めに行ったはずです。貴方を信じると。大丈夫、貴方を危険にさらしません。これから対策を建てましょう」 私の言葉を聞いた瞬間、彼の顔から一筋涙が流れた。彼は辛かったのだ。親しい友人から狙われ、家に帰っても誰もいない。そしておそらく両親も信じてくれない話。その恐怖は計り知れない。 私は立ち上がって彼の手を引きよせ、優しく抱きしめた。 「大丈夫。貴方は一人ではありません。私が貴方を守ります。絶対に一人にはしない」 最初はびっくりした様子だったが、彼も強く私を抱きしめてきた。 「……ありがとうございます。でもカッコ悪いな…俺は男なのに」 何も言わずに私は抱きしめ続ける。しばらくすると私も彼も気恥ずかしさが増してきて、自然に体を離した。 「と、とりあえずお茶のお代わりを持ってきます!」彼は真っ赤な顔で台所へ向かった。 今しがたまで感じていた彼のぬくもり…もっと感じていたかったがそれは求めてはいけない物。それにまずは彼の安全を確保しなければならない。 彼が戻ってくると対策を話し合った。彼の状態を知っていて尚保護しない警察は信用できない。大石刑事の噂は知っている。手段を選ばない男だ。 おそらく彼を囮にするつもりなのだろう。ご両親も連絡が取れなかった。どうも仕事で明日までホテルに戻らないようだ。 このままでは彼は一人きりで夜を過ごさなければならない。私が一緒に泊まることを考えた。もう世間体はどうでもいい。彼を守ることができれば。 でもこの家自体があまりにも危険。居場所が知られている以上いつ襲われてもおかしくない。ホテルも駄目だ。この周辺では園崎家の力が強すぎる。……となると一つしかない。 「前原君、すぐに着替えを用意して下さい」 「え?」 「この家は危険です。今日は私の家に泊ってください」 「ええっ!…その…先生の評判とかに傷が付いたりとか…」 「私が良いといってるんですよ?貴方を守りたい。それが私の気持ちです」 彼は初めて笑顔を見せた。この数日間見せなかった表情を見て彼への愛しさが増した。 私のマンションについてから、すぐに料理の準備をした。今日はカレーをやめておこう…… 夕食を食べながら他愛もない話をする。少しずつ彼も緊張が取れてきた。 「……知恵先生って恋人はいるんですか?」 「え?」突然の質問に戸惑いを隠せない。嬉しさもある。私を少しでも『教師』ではなく『女性』として見てくれたから。 「いませんよ。この辺りではなかなか出会いもありませんし」 当然恋愛の経験はある。ただ雛見沢へ赴任してからはそんなことを考えたことも無かった……貴方に会うまでは。 「す、すいませんとんでもないこと聞いちゃって…」 「いいのよ。前原君昨日までほとんど眠れなかったでしょう?今日はゆっくりお休みなさい」 この話題を避けて私は就寝を勧めた。 私の自宅は1LDKなので彼はソファーで横になる。電気を消したものの睡魔が訪れるはずがなかった。 今日の出来事を思い返しているうちに突然彼が起き上がり、私の上にのしかかってきた。 「前原君!?」 「……怖かった。今でも…怖いんだ!」そう言って私の胸元にすがりつく。 彼の話を聞けば当然だ。簡単に恐怖はぬぐい去れない。しかもまだ何の解決もできていなのだから。 私は抗うことをせず、彼を抱きしめて彼の震えが収まるまで待った。 そしてゆっくりと彼の顔を引き寄せ、唇を重ねた。驚きの表情を見せる彼に私は言った。 「良いのよ、いらっしゃい。私が貴方を癒します」貴方は本当は強い、ただ今はボロボロになっているだけ。 もう良い。今日だけは『教師』をやめよう。私は彼の唇をこじ開け、舌を絡めていった。 彼にとって初めての女は私。そう考えるだけで体が熱くなる。一旦体を離し、下着も全てを脱いで 仰向けになった。 「先生…綺麗だ…」 「…有難う。貴方の好きにしていいのよ」 そう言って彼の手を私の乳房に触れさせた。おずおずと私の乳房をつかみゆっくりと揉み始める。 「んっ!」稚拙な触れ方だが、愛しい彼から愛撫されていると思うだけで感じ方が違う。 徐々に彼の触り方が大胆に、激しくなっていった。さらに舌を使って乳首を転がし始めた。 「ああっ…」思わず喘いでしまう。私の中の『女』は完全にタガが外れた状態になった。 彼の舌が秘裂に達した時に私の快感は頂点に達した。 「先生?」私が急にぐったりとしたので不安になったのだろう。声をかけてきたが、すぐには答えら れなかった。 「……大丈夫。すごく気持ち良かっただけ。嬉しかったわ」 「イッたって事?」嬉しそうに聞いてくる。初々しくって可愛い。 「そうよ。私だけじゃ不公平ね」そう言いつつ体を返し、彼のトランクスに手をかけた。 「お、俺はいいよ!」咄嗟に手で押さえようとするが、私が下ろし始めると抵抗しなくなった。 想像していたよりも少し大きいペニスを口に含む。 「うっ!」尿道口を舌でつつき、カリまでを含みながら下にある袋を揉みあげる。 「こんな…気持ちいいよ先生…」 彼に余裕がないのが分かる。私の髪を触る力が強まっていく。 「も、もう駄目だ!射精ちまうっ!」口の奥まで収め、カリの先まで含んだペニスが急速に大きくなる。 「いいのよ、そのまま出して」そう言おうとしたが、口に含んでいるためほとんど話せない。 だが、口にくわえながらしゃべった動きが彼の限界を越えさせてしまったようだ。 「おおおっ!」私の頭をつかみのどの奥まで突き入れてきた。その瞬間精液がすごい勢いで私の喉を叩いた。 「ごめん先生…苦しかったろ?」しばらくお互いに恍惚に浸ってから彼が聞いてきた。 「ううん、苦しくなんてないわ。気持ち良かった?」 「ああ!もうなんて言ったいいか分かんねえ位に気持ち良かったぜ!」 彼の言葉に力が戻っている。元気な時の力強さがある。 「でも、まだ満足してないでしょ?」見るとさっきよりもさらに大きく見える。 「でも…これ以上いいんですか?」 「今日の私は教師じゃないの。だから前原君も気にしないで。私がしたくってするわけだから」 初めてだったら分からないだろう入口を自分から広げる。 それを見た彼はさらに興奮したようだ。もう無言でペニスを押しあてた。 「待って…」不満そうに私をみる彼に「今だけは『留美子』って呼んでくれる?」 「ああ…留美子」その言葉を聞いて私は自分からペニスを誘導した。 「あああぁっ!」「うおぉぉお!」同時に声が出る。一匹の雄と雌と化した私達は嬌声をあげながらお互いを激しく求めあう。 「留美子ッ留美子ッ!」名前を呼ばれて突き入れるたびに軽く達してしまう。私にとっても初めての感覚。もう私には何の余裕もない。もっと彼に喜んでもらうための雌。 「射精してっ!私の膣中の奥に射精してっ!」もうそれしか考えられない。叫びながら彼の背中に足を絡める。 「射精るっ!射精るぞぉぉぉお!」子宮に届く彼の精液を感じた瞬間、私も生まれて初めての高みまで達した。 「留美子…」そう言って荒い息の彼を私は抱き寄せた。すぐに彼は眠りに落ちる。やはり疲れきっていたのだ。一夜だけの幸せ。でもせめて今夜だけは彼は私のもの。眠りにつかずに私は彼の寝顔を見つめ続けた。 気がつけば朝日が部屋に差し込んでいた。今日は休もう。彼をご両親に引き合わせてしばらく東京にいてもらう。その間に警察が何らかの結果を出すだろう。 「おはよう留美子」突然彼が声をかけてくる。 「おはようございます前原君。今からは『先生』ですよ」そう答えたが嬉しさは隠せない。 「ああ、でも昨日は嬉しかったぜ。信じてくれて、その…あんなことまで」 「いいんですよ。私がしたかった事をしただけですから」 とりあえずベッドから出て朝食を摂る。努めて明るく話しながら今日の予定を決めた。 朝一にご両親と連絡が取れた。私から事情を説明し、名古屋まできてもらう。私たちもすぐに準備にかかった。 名古屋には私たちの方が早く到着した。ご両親が到着するのにああと40分。時間を潰そうと喫茶店に行こうとして彼から話しかけてきた。 「先生。俺は先生の事が「ダメですよ」 言葉をかぶせる。それは一時の夢だから。 「一時の感情でそんなことは言ってはいけません」彼の唇に人差し指を当てる。 「でも俺は本気なんだ!」思わずため息をつく。 「なら『今日は』ダメです」 「ならいつだったら良いんだよ!」 あれは一夜の夢。日にちが経つごとに淘汰されることを私は知っている。 「そうですねぇ……前原君。貴方が先生を養えるくらいになってからかな?」 「何年後の話だよ!」怒ってる怒ってる。すぐむきになる所も可愛い。 「でも本当ですよ!?オ・ト・ナなんですから私は」 「わかったよ!でも必ず『うん』って言わせるからな!それまで待っていてくれよ!」 「期待しないで待ってますよ☆」 もしかしたらもう会えないかもしれない。だから昨夜の思い出が色あせないように。 だからいつもより明るく、可愛らしく振る舞う。彼にとって良き思い出になりますように。 そんな掛け合いをしている内にご両親の乗った新幹線が到着した。 1時間ほどご両親に説明し、予定を変更してそのまましばらく東京で3人で過ごしてもらう。 雛見沢で何か事件があればそのまま引っ越しを検討してもらうことになった。 「絶対続きを言ってやるからな!」そう言って彼は去っていった。笑顔で見送る。 涙が零れそうなのを我慢して、「いよっし!」と気合を掛けた。 そう私は幸せだったのだから。彼の思い出になれたから。 分校に顔を出すと大変なことになっていた。古手さんが殺害されていたのだ。生徒は皆午前中に下校していた。私も警察に事情聴取を受け、帰宅した時は深夜になっていた。 次の朝にはさらに恐ろしいことになった。雛見沢大災害。あまりの事に錯乱しそうになり、私も病院に運ばれた。 そしてあれから4年。私は別の県に移り、相変わらず教鞭を取っていた。雛見沢と同じような寒村で。やはり私は教師という仕事が好きらしい。村人たちとも馴染みになっている。 いつものように生徒が全員いなくなるまで残って明日の準備をする。 「先生!」振り向いた私が見たものは記憶よりもずっとたくましくなったあの人。 「こっちの大学に合格したんだ! 俺も教師を目指している!さあ、今なら言えるぜ!」 涙が止まらなくなった。彼の思いの強さに打たれた。何も考えられなくなって彼の胸に飛び込んだ。 「返事はこれでいいかしら?」 「ああ!もう絶対『先生』って言わねぇからな!」 おわり -
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沙都子ちゃんは、あまりの痛みに身をこわばらせていた。 「ゃぁぁああッ! ぬ、抜いて、抜いてくださいまし、抜いてくださいましぃぃ!」 「大丈夫ですよ……沙都子ちゃん……まだ、始まったばかりですから」 自分が自分で嫌になる。 沙都子ちゃんが好きだというのに……いや、好きだからこそやっているのだが…… とにかく私は、抽送を続ける。 「やっ、やっ、やですぅぅ、ぬ、ぬぃてぇぇ! ふわぁああああああん!」 「沙都子ちゃん、もうちょっとだから、もうちょっとだから、我慢して!」 私もつらいというのは、たぶん自分を誤魔化すための言葉だ。 事実私は、辛くないのだ。 それどころか、愉悦の笑みさえ浮かべてるではないか。 そんな自分の内なる暴力性に気付き、 うろたえ、蔑み、嫌っていようと…… 私は続けるのだ。 「沙都子ちゃん、これで、最後だから」 これを突き入れれば忘れてしまうのだから。 沙都子ちゃんに贈る、私からの、最初で最後の花束。 ひょっとすると……私は沙都子ちゃんの事が …………………………………好きだった。 (もうオチは分かっているでしょうが、続きを読むには「リテ・ラトバリタ・メイド」と唱えてください。) 「はい、もう終わりですよ、沙都子ちゃん」 「う、うう……酷いですわ、監督……」 そう、これで何もかも終わりなのだ。 雛見沢症候群は、たった今より、急速に撲滅される! 沙都子ちゃんは、そのための実験台だった。 一度そう思ってしまうと、こんな職業をやっているというのに心が痛む。 「よかったですね、沙都子ちゃん」 「何がですの……三本もお注射を打たれて、何が良かったんですのよ……」 沙都子ちゃんはぐったりしてしまっているけれど、 薬の副作用ではないだろう。 たしかに沈静の作用はあるが、ここまで強力じゃない。 さっきまで泣き叫んでいたせいだ。 「これで……もう少しすれば……お別れかもしれませんね」 「? 何を言ってますの?」 「いえいえ、こちらの話ですよ……沙都子ちゃんは、悟史くんが帰ってくるとしたら、 まずどうしてあげたいですか?」 「ま、ますます意味がわかりませんわ。支離滅裂でしてよ」 そういいつつも、真剣に考え込む沙都子ちゃんをかわいいと思う。 一時は本当に、自分の家の子供にしたかったぐらいなのだから。 「……とりあえず、挨拶しますわ」 「はは、そうですね。挨拶は大切です。 でもですね、私が聞いているのはそういうことじゃありません。 ……何度も言っているように、私は沙都子ちゃんの幸せを願っています。 もし、再会がどんな形であっても……沙都子ちゃんは……受け止められますね?」 「な、なんですの? もしかしてわたくしの体が目当てですの?」 沙都子ちゃんが左右の腕を掴んで、身を固めた。 何か勘違いされたようだ。 「ふふ……単刀直入に言いましょう。 悟史君は生きています。そして……私は居場所を知っています」 「知ってますわ」 「へ?」 即答だった。 「にーにーも……同じ病気なんでしょう?」 「な、なぜ?」 「分かりますもの。兄妹をなめないでくださいませ……っていうのは嘘ですわ。 詩音さんも案外間抜けなんですのね。 あんな浮かれた顔していましたら、誰でもわかりますわ」 沙都子ちゃんは、そう言って笑った。 その端には涙があった。 本当は、信じきれなかったのだろう。 詩音さんのことだって、確証ではないのだから。 「悟史君は寝たきり生活だったので、まずリハビリを始めなければなりません。 若いので筋組織の回復は早いと思いますが……後遺症は考えられます。 今までどおりの生活が保障されるとは限りません……が、中にはそういう状態から回復するどころか、 以前より増強されたという例もありますから」 「に、にーにーが筋肉ムキムキになって帰ってきますの?」 「ええ、そうかもしれませんね」 私は冗談用の微笑を、沙都子ちゃんに投げかけた。 沙都子ちゃんは一緒になって、笑ってくれる。 この一瞬だけ……いつも、時が止まった気がする。 「みー、沙都子、いっぱいお注射されてかわいそかわいそなのです」 「梨花? 居ましたの?」 「さっき来たばっかりなのです。もうお注射が終わったから、 入っていいといわれたのですよ」 そういいながら、梨花ちゃんは沙都子ちゃんに抱きついて、 頭を撫でていた。 微笑ましい光景だ。 ずっとずっと見ていたい。 でも……それも……雛見沢症候群が根絶されれば…… 「入江も、かわいそかわいそなのです」 「へ? あははは、嬉しいなぁ」 突然の梨花ちゃんの手に、私はくすぐったいものを感じたけど、 それを受け入れた。 「いっぱいいっぱい撫でてあげますから」 「ありがとうございます」 「だから、泣くのはやめてほしいです。いい大人がみっともないですよ」 ドキッとした。 自分が涙を流していることさえ、気付かなかった。 「い、いえいえ、ひ、雛見沢症候群の、根絶は……私の、夢でしたから」 涙を流したことが分かったとたんに、 私の声は涙声になってしまう。 何とも不思議な体だった。 「だったら、笑うですよ。にぱー☆」 「に、にぱー☆」 「……入江、もう決まっていたことなのですよ」 「何がですか?」 私は涙をぬぐって、梨花ちゃんの顔を見た。 不思議と、十歳は大人びて見えた。 「入江が必ずすると念じたことは、入江は必ず成すのです。 だから……どうか、念じてください。 お魎が入江をどこかには行かせないのです。 お魎だけじゃない。雛見沢の皆が、入江をこれからも必要とするのですよ。 走って転んだときは、誰に言えばいいですか? お風邪を引いたときは、誰に言えばいいですか? もし……誰かが大怪我をしたとき、神様に祈れとでも言いますですか? 神様は居ますが、成すのは人間なのですよ。 神様は最後の最後に、人差し指でほんの一押しするだけなのです。 特にここの神様は……生意気ですから」 そうして梨花ちゃんは、にっこり笑って言うのだ。 「ふぁいと、おーなのです」 「あはは、ふぁいと、おー」 私も同じように、やった。 ふぁいと -stay hinamizawa- ―完―
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前篇 羽入と圭一の一番長い日(前篇) 約束を守る最上の手段は決して約束をしないことである。 『ナポレオン言行録』より カエサル「賽を投げろ」(「賽は投げられた」の原語) プルタルコス『ポンペイウス伝』より あの後、ボクは圭一のお家から、梨花たちにバレないように神社に戻ったのです。 何もなかったように目を覚まし、登校し、そして今――放課後の部活を迎えたのです。 …今日はバレンタインデー。そして、圭一にチョコをあげようとしているのが、ボクを含めて――六人。 レナ、魅音、詩音、沙都子、梨花、そしてボクなのです。 みんな愛しの圭一に手作りのチョコをあげようとしているのは、女であれば分かってしまうことなのです。当然、ボクも。 でも、そこはボクたち部活メンバー。どんなことでも過酷な「部活」になるのです。 「じゃあ今日は、バレンタインデー特別記念の部活にしよう!そ・こ・で…圭ちゃん!今日のゲームはあんたが主役だよッ!!」 「おお、マジかよッ!!なんだってまた、今日は俺がッ!?」 魅音に名指しされて戸惑う圭一…ふっふっふ。 「今日はバレンタインデーなんだよ、だよ!みんな圭一くんにチョコを持ってきたんだから、それをあげちゃうんだよ、はぅ~!」 「をーっほっほっほ!私も含めて、みなさんそれぞれのチョコを圭一さんに差し上げてもよろしいわけですけど、全員が本め…じゃなくてじゃなくて、義理チョコじゃ面白くないですわ!」 レナと沙都子もこのゲームに乗り気のようなのです。 「なので、圭ちゃんが一つだけ選んで下さい。それが『特別なチョコ』ってことで、それを作った人に一日デート権までつけちゃいます!あ、あと私から、エンジェルモートのデザふぇ一日タダ券もあげちゃいます!」 詩音も今日は圭一のためにチョコを持ってきている…悟史はどうしたのですか? あぁ、圭一はいわゆる「キープ君」にするんですか、そうですか。 どうでもいいけどその牛みてーな乳を圭一の腕に絡めるんじゃねーよなのです。はいはい爆乳爆乳。 「というわけで、ここにみんなのチョコが並べてあるのです。圭一はサイコロを振って、その出た目のチョコをもらうのです。そしてそれを作った人と二人きりで一日『にゃーにゃー』して構わないのです、にぱ~☆」 「ふ、二人っきりで『にゃーにゃー』はちょっとマズイんじゃないかな、かなぁ!あはははははははははははは。…でも、圭一くんなら…『レナのを』当ててくれるよね… よ ね ?」 「レ、レナの目がマジだよ、おじさん怖いってばぁ~!!」 「…なるほど、そういうゲームか…よし、乗ったぜ!」 クックック… 計 画 通 り なのです。 今日はおそらく、こういうゲームになると予想していたのです。 サイコロの目で決める、一発勝負。 間違えないよう念のために、魅音にそれとなくサイコロゲームをさっき薦めたのですが――彼女は既に決めていたので安心したのです。 既に目の前にはみんなのチョコが並んでいます。 梨花が『一』、レナが『二』、魅音が『三』、沙都子が『四』、詩音が『五』、ボクが『六』の番号を割り振られています。 そして圭一が「運命の主宰者」となり、サイコロを振る。 ――このサイコロっていうのがやっかいなのです。ごまかしがなかなか効かないもの。 ですが、これで決めてしまえば、『六』の目を出してしまえば――文句無しの勝者になれる。 ――そこで、ボクと圭一は昨日、約束したのです。 「いいですか、圭一…自前のサイコロを。あなたが目を操れるサイコロ…たしか、大石にもらったはずなのです」 「ああ、あるぜ…これはどんなに振っても『六』の目しか出ないように作られた、イカサマ用のサイコロだ」 「明日、ボクはあらかじめ魅音にサイコロゲームを提案するのです。そしてボクのチョコの目は『六』にして、圭一がそれを振れば…」 「…羽入のチョコを貰える上に、さらに羽入と一日デートまで…」 「そしてそのデートの夜こそ…ボクから本当のプレゼントをあげるのです…。欲しいでしょう?ならば、圭一…イカサマするのです…ふふっ」 「くけけけ…全ては神のために…」 ――ふふふ、みんな楽しそうなのです。 ですがこれは既に、ボクの手の内に有るゲーム…みんなが負けてボクが勝つ。 文字どおり…ボクは今、『神』なのです! 「…で、提案があるんだけどさ」 圭一がポケットに手を伸ばして、サイコロを取り出したのです。 「ちょうど今日、持ってきちゃったこれがあったから、このサイコロでいいだろ?これを振るだけだしな」 それでいいのです、圭一…偶然持っていたという風を装うのです。 「…うん、いいんじゃない?おじさんは賛成」 「なんだかタイミングが良過ぎじゃございませんこと?まぁ私は構いませんわ」 「そうですね、それでいいんじゃないですか?どうせサイコロに変わりないですし」 よし、この三人は予想通り鈍感だから騙せたのです。問題は…。 「…ねぇ圭一くん。そのサイコロ、ちょっと貸してくれないかな…かな」 「…そうね、私も見てみたいわね…」 くっ…やはりレナと梨花は疑り深いのです。 「…あぁ、いいぜ。どこも変なところは無いからな。俺を信じろよ」 圭一は気さくにそれを渡したのです。レナと梨花はしばらくそれを手に取って探っていましたが…頷いて圭一に返しました。 「…うん、大丈夫だね。…圭一くんならしないだろうから信じるけど…」 「お…俺が何をするっていうんだよ、レナ…」 「 イ カ サ マ 」 レナの目がマジなのです…これはバレたら恐ろしいことになりそうなのです。 でも気になるのは…梨花なのです。ずっとボクとサイコロを見比べています。こっち見んななのです。 「…まぁ、どんな目が出ようと、私はそれに従うわ…くすくす」 嫌な感じなのです。未だにベルンカステル気取りの癖が抜けないから、いつまでもナイチチなのです、バーカバーカw 圭一はボクにも了承を求めました。 「…羽入もいいよな、コレで」 「…はい、ボクは全然構わないのですよ」 「よし、じゃあ…決まりだな…くっくっく」 お互いに言わずとも分かっているのです…全てはボクの思い通りなのですから! 「さぁ、いくぞッ!!」 ――圭一がサイコロを振る構えを見せたのです。 「――全ては神の仰せの通りに」 ニンマリと笑う圭一…馬鹿…あまりこっち見んななのです…バレたらどうするのです… いや、もう勝つと分かってのことですか…それでいいのです。 それにボクも…なんだか顔が、自然とニヤけてしまうのです。 だ…駄目なのです…こらえるのです…し…しかしwww 梨花たちは未だに自分こそが勝つと思い込んでいる…サイコロが落ちる前に勝利を宣言してもマズイ… いや…サイコロが止まる寸前…『六』の目が出る寸前に勝ちを宣言するのです…! ――そして、賽は投げられたのです。 サイコロは宙を舞い、机の上でコロコロと回り…もうそろそろ回転が収まりそうな瞬間。 ボクは梨花を見て言ったのです。 ――勝利を確信した、最高の笑みで。 「梨花。…ボクの勝ちなのです」 言ってやったのです言ってやったのですッ!!!どうですか、梨花ッ!! ボクと圭一で一日『にゃーにゃー』なのです!ボクと圭一がズッコンバッコンやってる間に、梨花は自宅でペチャパイを弄りながら一人オナってればいいのです洗濯板涙目なのですwwwwww ――ですが、梨花は動じず――むしろボクを笑い飛ばしたのです。 「――くすくす。勝ちですって?――それはこっちのセリフだわ」 …な、なんということ…。 ボクの目の前に、『一』の目が出たサイコロがあるのです。 何故、何故、なぜッ!!おかしいのです、圭一のサイコロは必ず『六』の目が出るはずなのに…ッ!! 「な…なぜ、『一』が…」 圭一も茫然と立ち尽くしていました。 「か…神…。お、俺は仰せの通りに…」 馬鹿!だからこっちを見ながら言うんじゃないのです!みんなジロジロと怪んでいるでしょうがッ!! 「――魅音、詩音。圭一を確保しなさい」 なっ…梨花の指示で、圭一が二人に捕えられたのです。身動き出来ない圭一はただ「か、神…」とうめくばかり。 梨花はサイコロを拾って、圭一の前に見せました。 「『一』の目だから、私が圭一と一日『にゃーにゃー』なのですよ、にぱ~☆…というつもりだったけど、イカサマした罰が先ね。羽入と組んだ代償は…そうねぇ、二人に罰ゲームってことで。それでいい、みんな?」 みんながギラリと目を光らせるのです…うぅ、イカサマがバレた時の罰ゲームなんて、格別上等にヤバイに違いないのです! でも…なぜ、なぜ…? 「――なんでバレた、って顔してるわね。いいわ、教えてあげる。…羽入。あんたが家に帰って来た時、ほっぺたにチョコレートシロップと『圭一のホワイトチョコレート』がついたまんまだったわよ」 「――ッ!!!」 し、しまったあぁぁぁなのですうぅぅぅぅぅ!!! あの後、疲れてしまって、お風呂も入らずフラフラと自分の布団で寝てしまったのですッ! そして起きた時には綺麗に顔が『拭かれていた』…ということはッ!! 「――そう、私があらかじめタオルであんたの顔を寝ている間に拭いてやったの。そして知らぬふりで通し、羽入以外のみんなで計画を練った」 「圭一くんと羽入ちゃんで、夜中の内に何かを画策しているんじゃないかな?ってレナは思ったの。 おそらくバレンタインデーの部活について、目的は当然、羽入ちゃんに便宜を図るため…」 「…そこで、おじさんが思い出した。『イカサマする道具を、この前大石さんからもらっていたはず。確かサイコロだった』てね」 「ならば、そのサイコロを使うゲームをするように仕向けて、みんなの前で暴けば宜しいのですわ。それが証拠になりますもの」 「…そして、さっき私が圭ちゃんの腕に絡んでいたでしょう?…ただ単に、この爆乳を押し付けていたんじゃないですよ。あの時、羽入さんにも気付かれないよう、圭ちゃんのポケットからサイコロを奪って、お姉のサイコロとすりかえたんです」 「…当然、それは普通のサイコロ。圭一はそれを知らずに意気揚々と振ったというわけなのですよ。…まぁ、まさか上手い具合に『一』を引き当てるとは思わなかったけど。――どこかにいるかもしれない、幸運の『神』に感謝するべきかもね…くすくす」 みんながご丁寧に教えてくれたのです――ニヤニヤしながら。 さ、最初からバレていたのですか…このゲーム自体が、イカサマだったなんて…! ていうかみんな、推理力がおかしいのです!そこまで飛躍して考えて、しかも全部当たってるのは卑怯なのです! 「バーローなのですよ、にぱ~☆…くすくす。だけど、現にここにイカサマのサイコロがあるんじゃ、言い訳出来ないわよ?」 梨花が詩音から受け取ったサイコロは…確かに圭一のサイコロ。 それが既にイカサマ目的なら…言い逃れは出来ないのです。 こ、こうなったらッ! 「…圭一」 「か…神…」 「逃げるのですッ!!!!!」 「御意ッ!!…すまん、みんなッ!!」 圭一は二人を振払って、ボクと一緒に逃げ出したのです! ボクも教室から駆け出して、なんとか校庭で圭一と合流できたのです! 「圭一ッ!!…なんとか逃げ延びるのです、捕まったらアウトなのです、人生の終わり的な意味でッ!!」 「分かっております、神ッ!!…うおおぉぉぉ、スマン!!みんな~~~ッ!!!」 × × × …教室に取り残された五人は、彼らが走り去った後を見て、全員がゲラゲラと笑った。 「…はぅ~☆あの二人、愛の逃避行なんだよ、だよ!」 「それにしては、焦り過ぎもいいところですけどね。――二人で逃げ出さねばならないくらいの秘密があるわけですね。おそらく『昨日の夜』の――」 「そ、それは…まさか、不潔でございますわぁッ!!!」 「くすくす…そうとは限らないわよ?――まぁ、帰ってきた時の様子じゃ、確実だろうけど。それは二人に直接聞いてからのお楽しみなのですよ、にぱ~☆」 「…さぁて部員諸君。今日の部活は…あの二人と、鬼ごっこだぁッ!!!あの二人を捕まえて、『昨日の夜』についてあらいざらい聞き出した人がチョコをもらえるってことでッ!!いくよッ!!よーい…スタートッ!!!」 魅音の掛け声を合図に、みんなは一斉に走り出した。 ――誰一人として、あの二人を逃すつもりはない。 ただし、それは嫉妬ではなく、むしろあの二人をとことんいじり抜いて遊びたいという気持ちで、彼らを追いかける。 ――もちろん。逃げている二人は、こんな温かい彼らの思いに気付かず、ただただ逃げることしか考えていなかったが。 ――めでたしめでたし、めでたくもなし?